△ アリビンゲーブ 11
今回の彼の伝言は随分大胆だった。
部屋に来い、って?
伝言を頼まれた人は彼はどう思ったのだろう、周りにばれてもいいのか?
兵長はこんな風に次々兵士を引っ掛けているのだろうか…。
な、なんて破廉恥な。
そこまで考えて、はた、と思考を止まらせる。
ちょっと待って。
兵長の部屋番号、覚えていない…。
必死で一週間前の出来事を思い出す。
確か、彼の部屋は二階だったはずだ。
それから、右に二つ曲がって…。
その次を、左?
いや、右?
兵長の部屋から見えた風景を思い出し、大体の場所を推測する。
位置的にはこの辺りで間違いないはずだ。
壁際からいくつめの部屋だったか…。
こればかりは思い出せない。
兵長がこんな風にバレてもいいように動くのであれば、私も誰かを捕まえて彼の部屋を聞き出せばいいだけだ。
はぁ、と小さく息を吐く。
連れて行かれることと、自分から赴くことがこんなにも違う。
いつまでも受け身でいたかったが…。
覚悟を決めよう。
今日何があったとしても私は私。