短編集 | ナノ


限定で5つのお題 01

1.ワタシ限定



今日も今日とて世に蔓延る悪を退治するためのパトロールをしていたのですが。いつも通り、不審者扱いされたり、近所の小学生達に石を思い切りぶつけられたりして一日を過ごしてしまった…。

腰のあたりに手を添えてみたら、軽く熱を持っていた。…経験から察するに、腫れているだろうなぁ…
そんなことを考えながら帰路につく。自宅をちらりと眺めると明かりが漏れていた。


…と、言うことは…


「あー、よもつしゃんだーおかえりなさーいっ」

「貴女デシタカ」


部屋で自分を迎えてくれたのは最愛の恋人。なのだが、様子がおかしい。
玄関で立ち尽くしていると、彼女が私の腕をぐいと引っ張り、室内へ招き入れた。

…ここ、私の部屋なんですけどね…。


ブーツを脱ぎ、自室に入ると普段は絶対しない『におい』を感じた。



「…飲ンデ、マシタカ…?」

「えへへ〜」


ふわふわとした口調のまま、彼女は体重を預ける。そしてゆっくりと私の首に手を伸ばし、ロープを緩める。
そしてそのままマスクを外し、甘えた様子でほお擦りをした。


「よもつさん、今日も一日お疲れさまー」

「…はいはい」

ここまでオープンに甘えてくる彼女は珍しいかもしれない。そんなことを思いながら、私は彼女の頭を撫でる。
そうされてうれしいのか、彼女は両腕も私の体に回してきた。


「…随分と、甘えますね。酔ってるからですか?」

「ちがいますーそんなんじゃないですー」

「じゃあなんですか?」

「もー…わっかんないかなぁ、よもっさーん」


むぅ、と脹れながら不満そうに言い放つ。

私が言葉を続けるより先に唇を塞がれ、彼女に先制を取られてしまった。


「えへへ」


「…全く…」



こんなのは、私限定でお願いしますよ?




ブランシュネージュ


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