短編集 | ナノ


君と休日3題 01

君と休日3題

 



 たまに、なら構わないだろ。


そんなことを自分自身に言い聞かせながら、俺は真っ白な海に身をゆだねる。

窓の外からは春の陽光が差し込み、気温も丁度いい。
要は、昼寝に最適だということだ。俺は今シーツと云う名の大海に浮かんでいる気分だ。


…ただねそべってるだけだけど。



 そう。たまに、だ。

普段は馬鹿の一つ覚えみたくトレーニングに明け暮れるのだが、今日は違った。

いつもなら外に出て、河川敷を走りこんで強い奴でも探しに行くぜ!と意気込むのだが。今日は違う。




何故か。




俺はごろりと寝返りをうち、丁度隣で寝息を立てる彼女と向き合う体勢を取る。


すぅすぅと先刻から規則正しい吐息を漏らす彼女は、俺にとってなによりも大切な存在。


瞳を閉じているから、長い睫毛の一本一本までしっかり見ることが出来る。それくらいの距離。




そっと手を伸ばして、ごつごつの手で彼女の髪に触れる。

柔らかくて、それでいてさらりとした彼女の髪。



その感触がとても幸せで、嬉しくて。




「…やべー…」




駄目だ。幸せすぎて表情の筋肉が緩んできた。

ぜんぶぜんぶコイツのせいだ、とかっこ悪く彼女に責任転嫁して。


俺は眠る彼女の唇を自分のもので強引に押さえつけることに決めた。




      LAL/高原日勝


Fortune Fate



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 高原はバ可愛い。
     2012.02.09
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