短編集 | ナノ


むすび。

『そばにいるよ』設定(同中出身,同い年,恋人)
※上記作品未読でも問題ありません
※常闇視点
※R18要素ガッツリ,閲覧注意




「踏陰くん、今日一日お疲れ様ー。それと体育祭3位入賞おめでとう!
 ねねっ、ちょっとでいいから、メダル見てもいいかなぁ?」

「ああ、構わん」


オールマイトから受け取った入賞メダルを彼女の目線まで持ち上げると、名は感嘆し目を見開いた。


「すごいなぁ、踏陰くんすごいなぁ!なんだか神々しくておいそれと触れないや」


少し困ったように名は笑いながら話す。
そう、今日は雄英高校体育祭だったのだ。わずか1日の開催だが、なんと密度の濃いことか。

クラスメイトだけでなくB組や他学科生の事を一度に見ることができ、さらに自身の今後の課題も浮き彫りになる
非常に実りある行事だったと、改めて思う。

「そういえば、名は今日一日なにをしていたんだ?経営科は売り子等をしていると耳にしたが」

「そうそう!クラスの子は結構やってたねー!後は同級生をどう売り出すかとかやってる子もいたらしいよ。
 わたしも売り子さんしてたんだ、来客者席メインで回ってたから、生徒側に行けなくて…ちょっと、寂しかったなぁ」


踏陰くんは、どう?
そう言いたげに名は小首をかしげ、視線で尋ねる。
そんなもの、答えるまでもない。


「俺も名と同じだ」

「…!ふふっ、言うようになったねぇ。中学時代からは考えられないよ」

「お互い色々経験を積んだからな」

「あはは!そうだね、その通りだね!!


 …じゃあ、さ……。その、……えっと…



 ”経験”積みに、うち、来ない?昨日から、家に誰もいないの」


先ほどまで並んで歩いていたのに、いつの間にか名が数歩俺の前を歩いている。
夕焼けのせいで、振り返って見せた顔色までは判別できなかった。

愛しく思う相手から、そんな誘いを受けたのであれば断る訳にはいくまい。

そうさせてもらう、と短く答えてそっと彼女の手を握った。


+++   +++   +++

流石にこのまま向かうのはどうかと思い、一度荷物をまとめるべく帰宅することにした。
家族にはクラスメイトの家で泊まり込んで体育祭の打ち上げと反省会をしてくる、と伝えた。
よくもまぁこんな嘘がスラスラと並べられたものだ。両親は楽しんでおいでとにこやかに送り出してくれた。

着替えなどの荷物を鞄に詰め込んで、名と待ち合わせしていた学校の最寄り駅へ自転車を走らせる。
柄にもなく急いで走らせると、コンビニ袋を下げて彼女が立っていた。


「名…すまない、遅かったか?」

「ううん、そんなことないよ、大丈夫。かなり急いで来てくれたんじゃない?ありがとう
 …はい、スポーツドリンク。これで水分補給してちょうだい?」

穏やかに微笑みながら手渡されたペットボトルをありがたく頂戴し、喉を潤わせる。
わざわざ丁寧にストローまで用意してくれている。本当にありがたい限りだ。
自分で思っていた以上に体は水分を欲していたらしく、一気に半分ほど飲み干して、俺たちは名の家へ向かった。



家へ行くのははじめてではない。
名は俺と違い、大学生の従姉と一緒に住んでいるらしい。
個室も与えられ、家事負担だけ多めらしいがかなり快適だと以前言っていた。

ルームメイトでもある従姉はバイトと部活に明け暮れているらしくほとんど一人暮らしのようなものらしい。
ちょうど部活の春合宿で遠方に出かけたらしく、何があっても絶対帰ってこない(と、名がしっかり念押しをしたそうだ)。


「絶対に途中で合宿抜けちゃダメだよって何度も言ったら、お姉ちゃんに凄くニヤニヤされちゃった…
 多分、わたしがなにをしようとしてるのかバレバレだったと思う。」

恥ずかしい、と両手で頬を覆いながら名は漏らす。
一度名の従姉に挨拶をしたが。明朗快活で色恋沙汰に興味のある女性だという印象は間違いなかったようだ。


道中で買い物を済ませ、マンションに到着した。
道すがら色々な事を話したものの、正直あまり記憶していない。
体育祭で疲れているからじゃなく、名からこうして誘われたことに正直かなり興奮していたからだ。

平静を装っているが、心臓は早鐘のようになっている。


がちゃりと玄関の鍵をあけて二人で入ると、名はぽつりと「こうしてるとまるで夫婦みたいだね」と耳まで真っ赤にしながらそう呟いた。
その姿にくらりときてしまった。空いた彼女の左手を強引に掴み、口内を犯してしまいたくなるほどに。

だが俺が行動を起こす前にそそくさとリビングへ移動していた名。
「踏陰くんも早くおいでよー」と、まるで子どもに言い聞かせるように言われてしまった。


些か腑に落ちなかったが、まだ時間はある。焦ることはない、と己自身にいい聞かせた。



+++   +++   +++


先に一日の披露を湯船で癒し、二人きりの打ち上げを始める。
名も疲れているだろうに、手作り料理を振舞ってくれた。
どれも美味で、思わず平らげてしまった。そんな様子をニコニコと微笑みながら見つめる名。

きっと幸せとはこのような時間のことを指すのだろうと、その時本気で思った。


食後には俺の好物である林檎を使ったゼリーまで作ってくれようで。何から何まで至れり尽くせりだ。




「御馳走様。ありがとう、全て美味だった」

「えへへ、どういたしましてー。いい食べっぷりで、惚れ惚れしちゃった」


そう言って食後の片付けをしようと立ち上がる名の手を握り、やんわりと制止した。


「…踏陰、くん?どうしたの?お片づけ、しなきゃ…」

「明日、俺がやる。今すぐじゃなくていいだろう。



 名。 ―‥寝室に、行くぞ」




そこで何をするのか。
口には出さなかったが、流石に名もわかったらしい。

茹で蛸のように赤くなり、無言で頷いた。





+++   +++   +++   +++



ぱたんと後ろ手でドアを閉めた瞬間、今まで抑えていた欲望が一気に溢れ出てしまった。
両腕で名をキツく抱きしめ、全身でその柔らかさを味わう。

少し苦しそうに腕の中で彼女はもがいたが、申し訳ないが力を緩めることはできない。


「名……好きだ」


思わず感情が口から、言葉となって漏れる。
腕の中でぴくりと反応し、震えた声で「わたしも、好き…」と彼女は続けた。

勿論そんなことは知っているが、改めて言葉にしてもらうと若干の気恥ずかしさもあるが嬉しさが勝つ。
腕の力を抜いて、少しだけ拘束を解く。とろんとした視線を向けられて、劣情の炎が増してしまう。

首筋に顔を寄せると、清潔感と透明感のある石鹸の香り。舌を這わせると、くすぐったいのか。名は声ならぬ声を漏らす。
キスをしたときにしか出さないような、艶のあるその声をもっともっと俺に聞かせて欲しい。

そう思いながら首筋、耳元、唇。そして誘うように緩く開かれた口を舌で割り。歯列、彼女の舌と、念入りに攻めた。

与えられる刺激が強いのか、何かを耐えるように俺の首に腕を回す名。
そんな様子もただただ愛しくて仕方ない。

舌だけでなく、もっと全身で彼女に触れたい。
愛撫を続けながら、思わずベッドに押し倒した。


「―っ、は…ぁ…。 ふ、ふみかげ、く……
 ……でんき……消しても、いい?」


「それは、まだダメだ

 …暗くすれば黒影が出る、まだ見せたくないからな」

「そんな…それに、まだって…んんっ」



何か言いたげな名をキスで無理矢理黙らせる。
黒影と俺が一心同体とはいえ、流石に初めては遠慮願いたかった。

名には申し訳ないが、明るい場所での行為となってしまう。心の中ですまない、一言謝って。胸元へ手を伸ばした。

もこもことした柔らかい部屋着越しに感じる、生地とは異なる柔らかさ。
女性特有のそれに興奮を覚えつつ、上下共にゆっくりと脱がせていく。

洗いたての陶器のような肌が顔を見せる。
初めて見る女の子の胸に、思わず喉がなった。



「…やだ…踏陰くん…なんか、手馴れてる…?」

「そんなことはない。…いまだって、緊張している」

「ほんと?」

「勿論だ。


 …ほら、俺の鼓動…わかるか?早いだろう?」


「……ほんとだ……凄くはやい……

 踏陰くんも、わたしでどきどきしてくれてるの?」


「―・・ッ… わかりきったことを聞くな…」


「ゃ、ぁっ…!」




ピンと主張した先端部分を舐めると、ぴくんと体をはねさせる。
よっぽど刺激が強いのか、小刻みに体を震わせ、涙の浮かんだ瞳で俺を見つめてきた。

「嫌だ」と口では言いながらも、彼女の瞳の奥には「もっとして欲しい」という期待の光しか見えず。
俺はもう一度突起部分を含む。舌でコリコリといじめ、反対の胸を手中におさめて揉みしだく。

甘い声で彼女は啼き、浅い呼吸を繰り返した。
もうやめて、とか細い声が聞こえたが、本当にやめてもいいのか?と尋ねると、切なそうに眉を下げる。


「あの、えっと…ちがくて……

 ……うぅ……。胸ばっかりじゃ、……やだよ……」



「……」



そっと彼女の秘部に指を沿わせると、そこはもうショーツの意味を成さないほどトロトロに溢れかえっていて。
顔を真っ赤にしたまま名は俺から視線を外した。



「そこまで、言わせてしまってすまない。

 …名……、いいな?」


疑問符はつけてはいるが、答えはもう決まっているようなものだった。

それでも名はにこりと微笑んで、「おねがい」と迎えてくれた。



ポケットに忍ばせておいた避妊具を取り出し、怒張した自身に被せる。
先端を蜜壷にあてがい、ゆっくりと侵入を始めた。


きゅうきゅうと容赦なく俺を締め付けるそこは、今まで味わったことのない快楽を与えてくれ、思わずゴムの中に吐き出してしまっていた。


…こんなに早く逝かされるとは思ってもいなかった。
恥ずかしさもあったが、そんなことよりもっと彼女の中に入りたい気持ちの方が遥かに勝った。


―次だ。
手荒に新しいものを取り出し、装着させてもう一度。


「…あ、ぁ……ふ、みかげ…く…ゥんッ!!」


ぐちぐちといやらしい水音が室内に響く。
一番奥まで俺を受け入れてくれたそこはさらに蜜をあふれさせ。先ほどより一層キツく俺自身を締め付ける。



「(持っていかれそうだ…)」


意識も、自身も。
―‥動くぞ、と呟き。彼女の了承をえぬまま、ゆっくり引き抜いて、再び奥へ。

ゆるゆるとしたピストン運動をするたび、名は啼き、体をはねさせた。
奥を突くと、上下するたわわな果実がさらに興奮を誘う。

最初はゆっくりと、少しずつ、中の感触を確かめるように動いていたが。
徐々にそのスピードは増し、視界がくらくらした。上り詰めているとはこのことだろう、とぼんやりと考える。

もう名はただただ啼き、喘いでいる。
涙を流し、快楽に身をゆだねていた。


「名……イ、くぞ……ッ」


「っは、あぁ、うんっ…わたし、も……あっ、あぁっ」


律動を繰り返し、ふっと視界が白めく。
どくん、どくん、と思い切り彼女の最奥で精を吐き出していると理解したのは数拍遅れてから。

眼前の彼女に倒れこみ、頭を撫ぜた。
ビクビクと痙攣をしたように俺を締めていたそこも、徐々に落ち着いていく。

荒い呼吸を整え、ずるりと自身を引き抜くと、今まで見たことないほどの精が溜まっていた。


若干の気だるさを感じつつも、ゴムを処理し。枕元にあったティッシュで彼女の蜜を拭き取る。



「…ふみかげくん……、す……すっごく、気持ちよかった……」



力なく微笑む名。その微笑みは今まで見たことがないほど色気に溢れており、行為の後だというのに心臓と自身がどくんと跳ねた。









+++   +++   +++



結局。俺が帰宅したのは翌日の夕方だった。

従姉が夜に帰ってくるとのことで、それまでに色々と片付けを済ませたかったそうだ。


「えっと、ほら……いっぱい、汚しちゃったから……」

真っ赤になりながら説明する姿がいじらしくて、もう一度求めそうになったがそこは我慢。

「手伝うぞ?」

「ううん!大丈夫!!…それに、これ以上一緒にいたら…その…えっと…」


―もっと、シたくなっちゃう、でしょ?
踏陰くんも……わたしも。




「―‥一理ある」


ふい、と視線を逸らす。
ちらりと視界の端に見えた名は、もう真っ赤だ。
この頭でよかった。きっと俺も同じような色をしていただろうから。



じゃあ、また。学校で。
そう言って俺は彼女の家を後にした。





2日間の振替休日はあっという間に過ぎ。いつもどおりに登校し、自席へ腰を下ろすと峰田が形容しがたい表情を浮かべて絡んできた。


「なぁ常闇ぃ…ちょっと聞きたいことがあるんだけどよ。

 体 育 祭 の あ と 一 緒 に い た 女 の 子 は 誰 だ ?」


ずわっ

一瞬にして全員の視線がこちらに向けられる。
口々に「女の子と一緒?」だの「常闇の彼女?」といった内容の言葉が耳に入ってきた。


さて、どう切り抜けるか。いっそ逃げるか。

即座にそう判断し、俺は勢いよく立ち上がった。







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本当は一緒にお風呂に入れたかったし、
黒影ちゃんと3Pまがいのこともしたかったし、
お互い触りあいとかもしたかったし、
n回戦までしたかったです(血涙

次回ですね。

2017.04.28


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