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重傷のシャオを抱き抱え、リヴァイは立体機動で拠点へと戻る。そこにはエレンの他に、つい先程まで鎧の巨人と戦っていたミカサ、ジャン、サシャ、コニーの姿もあった。フロックは少し離れたところで見張りに当たっている。


鎧は獣同様、車力の巨人によって奪い返されてしまったらしい。




「あ、お帰りリヴァイ!シャオも!」




いち早く二人の気配に気付いたハンジが手を挙げて空元気を見せる。その一声で104期生達の視線が一斉に二人へと注がれる。
リヴァイの腕の中でぐったりとしているシャオの痛々しい姿を見て、ジャンの顔からは血の気が引く。



「シャオさん、足が……!!」




「うん、すぐに手当てをしてあげて。ジャン、頼むよ」




「は、はい!!」




生き残った調査兵団が拠点としている此処は、ウォール・マリアの壁の上だ。兵士が此処まで乗ってきた荷馬車の一つからから物資を運び、ジャンとコニーが重傷者の手当てをしていた。怪我を負ったのはサシャと、今リヴァイが連れてきたシャオ。




そして……アルミンだ。




リヴァイは、アルミンとサシャの隣、既に用意されていた寝袋にシャオを仰向けに寝かせる。




「まだ止血しかしてない。頼むぞ」




「了解!」




リヴァイと再会を果たした後緊張の糸が解けたのか、シャオは痛みと熱に耐えるように固く目を閉じていた。額には汗が滲み、唇を噛み締めている。




「水を飲ませてやれ」




その指示にジャンが頷いたのを確認すると、リヴァイは足早にハンジの方へと向かう。




ハンジは神妙な面持ちでリヴァイを見返した。




「……エルヴィンは?」





「民家のベッドの上に安置した。…花を活けたよ。庭に咲いてたから」





ハンジが指差した先の民家に目をやり、そうか、と呟き、リヴァイは目を伏せる。やりきれない思いを抱え拳を握り締めるが、どうすることも出来なかった。




最終的に、リヴァイは注射をアルミンに打った。

よってアルミンは巨人化しベルトルトを食べ、超大型巨人の能力を継承した。


調査兵団13代目団長エルヴィン・スミスは、歴戦の友であるリヴァイとハンジに看取られ、静かにその生涯に幕を下ろした。



重い沈黙が二人の上にのし掛かる。空はこんなに晴れているのにどんよりと湿った空気が二人の間を漂う。

普段お喋りなハンジが沈黙を守っているのを見ると、あのリヴァイでさえも何も言えなくなってしまう。




壁に腰かけるハンジを無言で眺めていると、エレンが大声を上げたのが聞こえ、リヴァイはチラリとそちらに視線を移す。




「…アルミンが起きたみたいだね。行こう、リヴァイ」



「……あぁ」




現況を把握できず目を白黒させているアルミンに、エレンが泣きながら抱き着いている。巨人の治癒力でアルミンの身体は無傷だ。溶けてなくなってしまった金色の髪も、真っ黒に焼けてしまっていた皮膚も、すっかり元に戻っている。






こうなった記憶を失っているのか、縋るように見上げてくるアルミンを見据え、リヴァイはエレンに、ありのままを話せ、と命じた。



そろそろこれからの話を始めなくてはならない。







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