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吐息を弾ませるシャオを押し倒し、両膝を掴み、リヴァイは一気に奥まで挿入する。



「んんー!」



目を固く閉じ、強すぎる刺激に悶えるシャオを恍惚と見つめ、リヴァイは熱に浮かされた表情で律動を始めた。

本能のままに無心に腰を振り続けていると、シャオも彼の動きに合わせるように腰を揺らす。



(やっと、お前を抱ける)




今まで相手にしたどんな女よりも、シャオの身体は好くて、そしてそれ以上に、この存在が愛おしい。

一度膝に口付けた後、リヴァイはシャオの両足を肩に担ぎ、覆い被さる。奥まで深く繋がると中は熱く蠢いた。はぁー、とため息のように息を吐き、吐精感をやり過ごすと、彼女の耳元でリヴァイは囁く。




「愛してる」




「…!」




「シャオ、お前だけだ…お前だけを愛してる。ずっと、俺の傍に居てくれ」




「……兵長、」




耳にするすると入ってくるそれがリヴァイの言葉だと俄には信じられず、シャオがぱちぱちと瞬きをしていると、返答がないのが不満だったのか、額に汗を滲ませたリヴァイが此方を覗き込んでくる。固く刻まれた眉間の皺。いつものリヴァイだ。




「…嫌か?」



「そんな、いやなわけ、ありません」



慌てて辿々しく言葉を紡ぐと、リヴァイは額を合わせ、静かに目を閉じた。繋がったままの下肢を緩く動かすと、シャオは彼の首に腕を巻き付ける。
目を瞑り呼吸を荒げるリヴァイの顔を間近で見て、シャオの心に愛おしさが募った。


動きを早める腰に足を絡め、もっとと強請るシャオに応えるように、リヴァイは強く打ち付けるように律動を繰り返す。


ただ快楽を求めるだけの行為ではない。


心から愛おしいと思える存在と身体を繋げる行為によって、こんなにも心が安らぎ満たされるということを、リヴァイはシャオに出逢って初めて知った。



「……くっ!!」




彼女の細い手首を強く握り締め、リヴァイはシャオの腹の上に欲望を放つ。白濁が彼女の美しい身体を汚していくのをぼんやりと眺めていると、呼吸を弾ませたまま、シャオは此方を見上げて口を開く。




「私も、ずっと…兵長と、一緒に居たいです」




ずっと一緒にいます、と言い切ることはできない。いつ居なくなるかわからない身だから。それでも、同じ想いを抱いていることは言葉で伝えたかった。


もし、次の作戦で死んだとしても。
私が彼を愛した、という事実は消えない。






…行為のあと二人は、ベッドの中で素肌のまま寄り添い、幼い頃の話をした。

ケニーが去った後のリヴァイの地下街での暮らし。両親を失ったシャオがなぜ調査兵団を目指すようになったのか。


知らなかった過去を聞くにつれて、互いの絆が更に深まっていくのを感じた。




「…壁外調査は怖いけど…でも、ワクワクするんです。壁の外にはどんな景色が広がってるのかな、巨人にはどんな秘密があるのかな、って。お父さんがずっと知りたかったこと…私も知りたいんです」



ふふ、と子供のように笑うシャオを腕に抱き、リヴァイは黙って彼女の髪を撫でながら、その話を聞いている。


シャオの頭の中には、調査兵だった父親の意志が強く残っていた。


志半ばで倒れた父親の夢を、娘であるシャオは叶えようとしているらしい。それだけを聞けば、孝行娘だと周りは誉め称えるだろう。


ーー…父親の夢が、巨人を倒すということだと知らなければ。


きらきらとした瞳で夢の話をするシャオは、自分を人類最強のリヴァイ兵士長として見ている。世界一の兵士になる、という彼女の父親の夢を、現実にした男として。



勿論、リヴァイがそれを快く思う筈がなく。





「なぁ…」




「はい?」




「…いや、お前の親父は…お前が命懸けで巨人に向かっていくのを、あの世で嫌がってるんじゃねぇか?」



「……いいえ、そんなことはありません」




聞きにくいこと恐る恐る口にしたリヴァイだったが、彼女が予想外にきっぱりと否定したので、思わず目を瞠る。シャオは穏やかに笑っていた。




「元々私、怖がりで…本当なら巨人と戦ったり、壁外調査に行くことだって無理な筈です。でもその時が近くなると、決まってお父さんが夢に現れて、怖くないよ、凄いぞシャオ、って言ってくれるんです」



「………」



「だから今まで頑張って来れました。そしてきっと…これからも」




…そんなに純粋な微笑みを向けられては、返す言葉が見当たらない。


どうやら、兵士としてのシャオを縛り付けているのは、父親が遺した強い意志だった。







それは、夢という名の呪い。


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