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「リヴァイ!退却だ!」



颯爽と現れたのは調査兵団の団長であるエルヴィンだ。シャオは反射的に右手を心臓の前に当てる。その彼女の行動に目をやり、エルヴィンはシャオをまじまじと見た。

膝に絶命した兵士を乗せたままで敬礼をする彼女は華奢で小さく、世間一般の男性よりも背が低いリヴァイと並んでも何ら違和感はない。余程驚いたのか、キョトンとした顔をしていても彼女の顔は愛らしく、あのリヴァイが惚れるのも頷ける容姿をしている。

彼女がシャオリー・アシュレイか。
リヴァイのためにも覚えておこう、とエルヴィンは心の中で呟く。



「退却だと…!?まだ限界まで進んでねぇぞ?俺の部下は犬死にか?理由はあるよな?」




突然下された退却命令に、リヴァイは不満たらたらで立ち上がり、エルヴィンに詰め寄る。

リヴァイの剣幕にも動じず、エルヴィンはその場にいる三名の兵士に冷静に状況を説明した。



「巨人が街を目指して一斉に北上し始めた。5年前と同じだ、街に何かが起きてる」



今から5年前、845年。
突然現れた超大型巨人及び鎧の巨人の出現により、壁が破壊され、人類がウォール・マリアを放棄した年だ。


その時と同じ、ということは。




「壁が……破壊されたかもしれない」





エルヴィンが放った絶望的な一言に、リヴァイは目を見開き、シャオとペトラは恐怖で言葉を失った。

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