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元々寺子屋時代からの付き合いであり、青春時代を共にした仲である。要するに、何でも知っているわけだ。人生で一番恥ずかしい思春期も、時は攘夷戦争真っ只中であったが、お互い何もないことはなかった。
桂はいつも馬鹿真面目で女みたいな顔立ちだが、こう見えて割りと女好きであった。あの頃と性格が変わっていないのならば、相手が真選組だろうと口説きにかかるのではないか。


「……そーいやよぉ、真選組にも女の子いるんだな」


それとなく話を振ってみると、天然馬鹿真面目な桂は簡単に食いつく。


「オッキーのことか?知らなかったのか銀時。彼女は一番隊隊長だぞ。隊服が変わって太股が見えなくなったのが残念でならない!」


「いらん情報、ただのエロ親父かお前は!」


「そういやふてぶてしい女がいたヨ!あいつワタシのこと見て鼻で笑ってたネ!絶対ヒロインの座を狙ってるアル!!」


「オメーは違う方に話を持ってくなァ!!」


それまで大人しくしていた神楽が急に騒ぎだしたところで、襖の向こう側から声が掛けられる。噂をすればなんとやら、その凛とした声は紛れもない沖田ソーコのものだった。


「お前たちは包囲されている、無駄な抵抗はやめなせぇ。大人しく出てこないともう一発ぶちこみますぜィ」


恐らくバズーカの銃口を此方に向けながら、そう言っているのだろう。本当にやりそうなのが怖い。
そこに立っているのはソーコだけではなく、隣に土方、周りには一番隊の隊士達が囲んでいる。加えてここは十五階。桂と万事屋に逃げ場はない。


「土方さん、夕方のドラマの再放送始まっちまいますぜ」


「やべっビデオ録画すんの忘れてた」


もう勝った気でいる二人の呑気な会話が襖越しに聞こえてきて、相変わらず変なところに食いつく桂がいきなり声を上げた。


「オッキーもあのドラマ観てたのか!?俺は思う、あのドラマの主人公とヒロインはまさに俺とオッキーのようだと!!」


「テメーやっぱりかァ!!そのまんま過ぎて笑えねーよ!!」


攘夷党の党首という立場にいながら、真選組の隊長に鼻の下を伸ばしているなんて呆れた男だ。完全に引いているソーコに対し襖越しに睦言を並べる桂の袖から、何か丸いものがゴトンと落ちた。


「?何か落ちたヨ」


桂は熱くなっていてそれに全く気付いていない。神楽は気になってその球体に近づいていく。暫くはまじまじと観察しているだけだったのだが、やがてつついてみたり、転がしてみたりし出した。その球体には画面があり、今は真っ暗で何も映していない。しかし、上に付いていたボタンを押してみると、ピッと音がして、画面に「01:00」と表示された。

あっ、と神楽は顔をあげるが、桂は未だソーコを口説き続けている。


「銀ちゃん……銀ちゃん!」


「あぁ?」


桂に明らかに引いている銀時は、腕を組み事態が終息するのを待つ姿勢をとっていたが、神楽が持っているものと、次の言葉に言葉を失った。



「これ……いじくってたらスイッチ押しちゃったヨ」




それは、時限爆弾であった。



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