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ピンポーン


『新一?』

「おう。開けてくんねぇか?」


まだ繋がっていた電話に問いかければ、彼の返事が返ってきて急いで玄関まで行ってロックを外す。


「ただいま」

『おかえりなさい』


扉を開けるなり抱き締めてきた新一の身体は冷えきっていて、急いで中に入れようとするんだけど、あたしは新一の腕の中で動けない。


『新一?寒いでしょ?中入って暖まって行ってよ』

「んー…今はなまえ充電中。こうしてたらあったけーから平気だし」

『じゃあせめて玄関閉じよう?』

「あぁ、そうだな」


玄関の扉を閉めても新一はあたしを離してくれない。

いや、離してくれなくていいんだけど。

新一の腕の中が一番安心する場所だからと、そのまま新一の胸に頭を預ける。

そして玄関先で冷たくなってしまっている新一の背中におそるおそる腕を回した。


『充電、終わった?』

「まだ…ってか離したくねぇけど、このままだとなまえが風邪ひいちまうな。中入るか」

『ふぇ!?』


それは俗に言うお姫様だっこで、新一の顔が近くてドキドキが止まらない。

ヒーターもエアコンも着いてるリビングで、やっと降ろしてもらえて、今度は後ろから抱き締められた。


「最近事件ばっかでなまえ構ってやれなかったしな」

『仕方ないよ。新一は高校生探偵で忙しいんだもん。目暮警部も新一のこと、頼りにしてるみたいだしさ』


ちょっとどさくさに紛れてキュッと新一の服を掴む。

新一がここにいるっていう安心感があたしの中に広がってるような気がした。


「悪ぃな。心配ばっかかけちまって」

『ううん。大丈夫だよ。終わったって電話もらえるだけで、不安なんかどっかに消えちゃうから平気!』


笑ったあたしの髪を頬を大好きな新一の手が撫でてくれる。

それはあたしの不安も心配も苦しいキモチも一つ一つ消してくれる魔法のようだった。


「でも、俺もなまえの声が聞けると安心する」

『え?』

「俺のこと信じて待ってくれてんだなって。なまえの声聞くと帰ってきたってなんか安心すんだよ」


知らなかった。
新一があたしと同じキモチだったなんて。

新一の手がもう一度あたしの髪を撫でて、頬を撫でて顎を掴む。

クイッと持ちあげられた顎に、新一の優しい視線とあたしの視線が交わって、あたしは瞳を閉じた。






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