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02


「なまえちゃん、いらっしゃい。よく来たね」
『こんにちは、望月さん』
「なまえちゃん、あたしもいるわよ?」
『藍那さん!?』


今日は望月さんに呼ばれて来たんだけど、何で藍那さんまでいるんだろう?


「今日はなまえちゃんに、あたしたちがとっておきの魔法をかけてあげるから!」
『え?』
「俺と藍那ちゃんからのなまえちゃんへの誕生日プレゼントだよ」
『えぇっ!?』


いや、あたし、プロ二人にお祝いされるような身分じゃないですよ?!
驚いて固まってしまったあたしを藍那さんが鏡ばりにしてある前の椅子まで押して連れて来てしまった。


「まずは朔夜くんの魔法からね!あたしの魔法は最後だから」
「じゃあ、なまえちゃん、始めるよ?」
『え?あ、はい?』


まだ事態をよく把握出来てないあたしを他所に、望月さんはいつものようにメイクから始めてしまった。
あ、れ?でも、いつもと何か違う?


「なまえちゃんも気付いたみたいね。これが朔夜くんの本領発揮ってところよ」
「俺がいつもしてるのはなまえちゃんの為に準備したメイク道具で、なまえちゃんが普段も使えるようにアレンジしたメイクだからね。これが普段の俺の愛用品なんだよ」
『そうなんですか?』


お喋りしてる間も着実にメイクされて、今は髪をいじってもらってる。


『今日は大人っぽい雰囲気なんですね』
「シンデレラがイメージなんだよ!ね?朔夜くん」
「大人の階段を上ってる、ね。さぁ、最後は藍那ちゃんの魔法が待ってるよ」


前にドレスに着替えた部屋に行くと、大人でも子どもでも着れない、ホントに大人への階段を上ってるって言葉がぴったりのキレイで、でも可愛いっていう素敵な服が待っていた。


「どう?なまえちゃんの為に作った、あたしの自信作」
『す、すっごく素敵です!』
「気にいってもらえたなら良かった」


靴と鞄準備しとくから着替えたら出てきてねって藍那さんは退室してしまった。
袖を通してみるとホントに今のあたしにぴったりのサイズで、胸が大きくなっても着れないだろうし、背が伸びてもデザインが崩れてしまう、“今”のあたしの為だけに作られた服なんだって実感した。
どうしよう…こんなによくしてもらうなんて、あたしどうしたらいいんだろう。



「さすがあたしね!ピッタリじゃない!朔夜くんのヘアメイクもよく似合ってるしさ」
「当たり前だろ?実際にこの服見て決めたんだから」
『あ、あの!』
「うん?」
「どうしたの?」
『あたし、こんなによくしてもらっても、どうやってお返ししたらいいか…』
「なぁんだ!そんなこと気にしてたの?あたしたちがなまえちゃんが好きで勝手にやったことなんだから気にしなくていいのに!」
「そうだよ。今日一歩大人への階段を上った俺たちのシンデレラのなまえちゃん」
「「お誕生日おめでとう!」」
『ありがとうございます』


二人のキモチが嬉し過ぎて涙が出そうだったけど、今のあたしがすることは泣くことじゃなくて笑うことだと出来る限りの笑顔を返した。

着替えた服とか園子の家でもらったプレゼントとかの荷物があるからって、その後は藍那さんがわざわざ先生の家まで送ってくれた。


ピンポーン


「はぁーい。どちらさ、まってなまえ!?」
『新一、こんばんは』
「それ、すっげー似合ってるぜ」
『ありがとう』


新一が部屋に荷物運んどくって余計な荷物は持ってくれたから、あたしは先生たちの所へ挨拶しに行った。


『先生、今日はご招待ありがとうございます』
「今日のなまえ君はとても素敵なレディだね。誕生日の魔法がかかったのかな?」
『はい、今は魔法の時間なんです』


誕生日という名の0時に切れてしまう魔法がかかったシンデレラ。


「まぁ!なまえちゃん、その服どうしたの?とっても素敵じゃない!」
『メイドin藍那さんと望月さんの最強コラボです』
「あの二人からの誕生日プレゼントだったのね!あたしもなまえちゃんに今日のご飯に行く用の服用意したんだけど、そっちの方が断然素敵だわ!」


先生にも有希子さんにも普段からいろんなものをもらっているから、誕生日プレゼントはいりませんってお断りしたら、じゃあせめて一緒に夕食を食べに行こうって誘われて今に至る。
今日連れて行ってもらった場所も、普段のあたしじゃとてもじゃないけど入れないっていう、とっても素敵なところだった。


「なまえ君、少しは楽しんでもらえたかな?」
『少し、じゃないですよ!とても素敵な場所で、お料理も美味しかったですし、最高のプレゼントでした』
「なまえ君に喜んでもらえたなら良かった」
「ホントはちゃんとしたプレゼント用意したかったんだけど…なまえちゃんが絶対ダメだって言うから」
『当たり前です。普段から何回誕生日来てるんだっていう量のプレゼントをいただいてるのに、これ以上いただけませんよ。それに、あたしはお二人にはもう一生分のプレゼントをいただいてます』
「え?」
『先生と有希子さんはあたしに居場所を作って下さいましたから』
「なまえちゃん!」


満面の笑みで二人にそれを伝えると、有希子さんにむぎゅーっとされた後に、先生にも優しく抱き締めてもらった。

ホントに、あたしはお二人に感謝してるんです。

そのキモチが少しでも伝わればいいって、あたしも珍しく抱き締め返していたら、有希子さんに抱き締め殺されそうになったのは、また別のお話。





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