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02


走り出した車の中で、どうやら今回は助かったらしいとやっと実感した。
ったく、こんなこと何回もしてたら命がいくらあっても足りないわよ。

「ジョディ先生、なまえ姉ちゃんを早く病院に連れてって!」
『病院に行くのはコナンもでしょ。足撃たれてたじゃない』
「バーロー!自分の怪我見てから言えっ!俺のはかすり傷だ!」
「二人ともケンカするのは病院についてからにしてくれないか?煩くて敵わないんだが」
『すみません、コナンが煩くて』
「オメーなぁ」

まだ何か言いたそうなコナンの口を手で塞いで、お礼を言った。

『助けていただいたのにお礼もまだですみません。ありがとうございます』
「いいのよ。コナン君には私たちもお世話になってるから。それより貴女の怪我の方が心配だわ」
『大丈夫ですよ、このくらい』

新一が助かったんならそれでいい。
安心感で霞む視界の中で新一が必死にあたしを呼ぶ声を遠くで聞いた気がした。



『ん…』
「お姉ちゃん!気がついた!?」
『蘭?ここは…病院?』
「もう!お姉ちゃんが撃たれたって聞いてホントにビックリしたんだからっ!」

泣きついてきた蘭の頭を撫でながら、何があったのかを思い出していた。

そういえば新一はどうしたんだろう?

『ねぇ、コナンは?』
「僕ならここにいるよ」
『怪我、大丈夫?』
「うん!」
「じゃあ、あたし先生呼んでくるね。コナン君はお姉ちゃんの傍にいてあげて」

さっきまで可愛らしい笑顔を浮かべていたコナンは蘭が出ていったと同時に怒り出した。

「なまえ、オメー何無茶してんだよ!?」
『誰かさんが先に約束破ったからでしょ?』
「…」
『夜に出かける時はあたしに声かけるって約束したのに勝手に出ていったのは誰?』
「それは」
『まぁ、黙って出かける時はたいてい危険なことに首突っ込んでるって分かってるから後追ったんだけどね』
「分かってんなら来んなよ!」
『イヤよ。あたしは蘭みたいに黙って帰りを待ってるタイプじゃないもの』

新一の好きな蘭みたいに、黙って帰りを待つなんてあたしには出来ない。
あたしは好きな人が危険な目にあってるなら、助けに行きたいの。

「でも、オメーにもしものことがあったら」
『その言葉はそのまま返してあげる。新一は絶対無事に帰って来ないといけないの。帰りを待ってる蘭の為にもね』

蘭が先生を連れて帰って来たので、お喋りはそこまでになった。
どうやらあたしは撃ち抜かれた太ももと頭を切ったのとで、出血多量で意識を失っていただけらしい。
意識が戻って異常がないなら今日中に退院して構わないと言われた。
何とも運がいいことだ。

「お姉ちゃんお願いだからあんまり無茶しないで」
『それはコナンに言ってあげてくれる?誰かさんみたいに、事件って聞くとすぐ飛び出して行くんだから』
「お姉ちゃんが眠ってる間にたっぷり言ったわよ」
『そう?それならいいわ』

あたしたちの間で俯いてるコナンを見るとホントにこってり蘭に絞られたんだろう。
いい薬だ。

『帰ったらお父さんにも怒られるんだろうなぁ…』
「お父さんならしばらくいないよ?」
『何で?仕事でも入ったの?』
「お姉ちゃんを撃ったヤツは俺が捕まえるんだ!って警察行っちゃったのよ」
『ふーん』

タクシーの窓から外の景色を眺めながら、どうせ警察に捕まるような犯人じゃないだろうなとか考えていたら、コナンが手を握って来た。

珍しいこともあるもんだと思いながら、あたしもその小さな手を握り返した。

【君を護る為なら】

あたしは別にどうなっても構わない。
貴方が好きな蘭の元に絶対無事に帰してあげる。

「(なまえのヤツ、俺の気も知らねぇで毎回無茶して怪我しやがって…。オメーは俺が守ってやるって決めてんだ。さっさと元の体に戻らねぇと)」

→あとがき

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