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02


東京に着くと、お母さんから電話が入って、急な仕事が入ったから悪いけど仕事場まで来てくれる?って申し訳なさそうに言われた。
まぁ、どうせお父さんは一日中家にいるだろうし後回しにしても大丈夫だろうってことで、先にお母さんのところに挨拶に行くことになった。


「そう。平次君、なまえのことよろしくお願いね?」
「はいっ!ありがとうございます!」


バリバリに緊張してる平次がおかしくて笑ってしまったら、平次に怒られた。
だって、平次が畏まってるとこなんて見たことないんだから仕方ないじゃない。


「二人が仲が良さそうで何よりだわ。
なまえ、体には十分気をつけるのよ?」
『うん!お母さん、ホントにありがとう!』
「それから、」
『ん?』
「平次君に幸せにしてもらいなさい」
『うん!』


今でも十分幸せだよってたぶんお母さんには言わなくても伝わってると思う。
お母さんに頭を撫でられたのが久しぶりで何だか幸せ過ぎて心がくすぐったかった。


「あの人が何か言ってきたらいつでも連絡して来なさいね?私からも言ってあげるわ」
『お母さんありがとう!』


お母さんが家に戻って来てしばらく経つけど、なんだかんだいいつつもお父さんと仲良くやってるみたいだ。
もしかしたら、お父さんもあっさりOKしてくれるかもしれない。
そう思ったのが間違いだった。


「け、けけ結婚だぁ?ふざけるなっ!!」
『お父さん!ちゃんと話を聞いてってばっ!!』


平次の挨拶の途中でお父さんは激怒して机をバンッと思いきり殴った。
どうやら結婚って単語だけでぶちギレてしまったらしい。


「第一、俺はお前らの交際自体認めた覚えはねーんだっ!!なまえ!お前は就職だって勝手に大阪に決めやがって、今度は結婚だぁ!?誰がそんなもん認めるか!んな話なら帰れっ!!」
「お父さん!ちゃんとなまえと服部君の話を聞いてあげてよ!」
「はっ、誰が聞くか!お前らが出て行かねぇなら俺が出て行く!!」
『あたし赤ちゃんが出来たの!』


一切話を聞かないどころかホントに出て行こうとしたお父さんに向かってあたしは思わず叫んだ。


「なっ、なまえ、今、何っつった?」
『だから!あたし平次との赤ちゃんが出来たの!!』


認めてもらえないとお父さんに堕ろせと言われてしまうかもしれないと思ってあたしは必死だった。
この赤ちゃんはあたしが守るんだから!


『お父さんが未だに平次と付き合ってるの反対してたのは知ってるよ!だから、今までは結婚もお父さんに認めてもらってからにしようって二人で話してたんだから!』
「…」
『でも、あたし赤ちゃん産みたいの!平次との赤ちゃん堕ろすなんて絶対に嫌っ!!』
「なまえ、お前叫び過ぎや。少し落ち着き」
『お父さん、お願いだから認めてよ…』


立ち上がってずっとお父さんに向かって叫んでいたら平次に止められた。
こんなの体によくないのかもしれないけど、お父さんに認めてもらえなかったらこの子が…っ!!
そう思ったら涙が溢れて止まらなくて、蘭姉が心配して慰めてくれた。


「探偵坊主、一つだけ条件がある」
「何ですか?」
「なまえを絶対幸せにしろ!泣かせるようなことがあったら即刻別れさせるからな!」
「当たり前やないか!おっちゃんホンマにありがとうな!」



フンッとお父さんは出て行ってしまったけれど、これって認めてくれたってこと、だよね?





【やっと認めてもらいました】

『蘭姉、お父さん認めてくれたんだよね?』
「うん!お母さんも認めてくれたんでしょ?良かったじゃない」
『うん、ホントに良かったぁ…』
「言い忘れたが、蘭!俺はお前らの交際も認めてねぇからなっ!!」
「もう!まだそんなこと言ってるの!?」
「なまえのことは仕方なく認めたが、それとこれとは話が別だっ!!」

どうやらあたしたちのことを認めてしまった分、お姉ちゃんの恋愛を認めてもらえる期間が長くなっただけのような気がするのは、あたしの気のせい?



→あとがき

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