×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


01



大学を卒業して、平次のいる大阪の会社に就職したあたし。
お父さんが大反対してたのはいうまでもないことだけど、そこは無理矢理押しきった。
大阪の街も平次があちこち連れて行ってくれるから大分慣れて来たんだけど、最近体調を崩してしまった。


『気持ち悪い…』


食べては吐いての繰り返し。
でも食べなきゃ食べないで気持ち悪いし、微熱がなかなか下がらない。
これは病院行かなきゃいけないかなぁ?


「なぁ、それってもしかして悪阻とちゃうか?」
『えっ?』
「病院明日行くんやんな?俺も着いて行くわ」


平次に最近体調オカシイから病院に行くよって電話したら、意外な答えが返って来た。

悪阻ってあのツワリだよね?
え?でも何で?
えっ?嘘っ!?


「おめでとうございます。妊娠3ヶ月ですね。次は」


病院に行ったら、当たり前のように内科から産婦人科に回された。
エコーで見せてもらった画面には小さいけれどドクンドクンと自己主張している小さな命がいて、はじめて赤ちゃんが居るんだって実感した。
先生の話も上の空で、あたしは自分のお腹を撫でていた。
平次との赤ちゃんがここにいるんだと思うといとおしくて仕方ない。


「なまえ、お前その赤ちゃん産みたいか?」
『え?当たり前でしょ。平次との赤ちゃんだよ?』


あたしの家に帰ると平次がいつになく真剣な顔で聞いて来た。
え?嘘。
まさか堕ろせとか言わない、よね?


「せやったら、ちゃんとおっちゃんらにも話して結婚しよか」
『結婚…』
「俺もちゃんとなまえとの赤ちゃんの父親になりたいねんけど…あかんか?」
『嫌なわけないじゃない!嬉しいっ!!』


ありがとうって感極まって抱きつくと、平次に危ないやないかって笑いながら怒られた。
お前一人の体ちゃうねんで?ってその言葉自体が特別な言葉みたいに嬉しくて、あたしは幸せの絶頂だった。

今までも平次と結婚の話をしなかったわけじゃない。
でもお父さんは未だに反対してるし、それはまだ未来の話だと思ってた。
まさかこんなに早く実現するなんて!
早速お父さんとお母さんに大事な話があるからって連絡して、お母さんが次にお休みの日に平次と二人で東京へと行くことにした。

「なまえ、それホント?」
『うん!だから、今度お父さんとお母さんに平次と一緒に話しに行くの!』
「おめでとう!お父さんのことだから大反対するだろうけど、あたしも応援に行くから安心して!」
『ありがとう!』


一番にこのことを報告したのはやっぱりお姉ちゃんだった。
蘭姉が自分のことのように喜んでくれるのがホントに嬉しい。


「あ、このこと新一にも知らせなくっちゃだね」
『平次が連絡するって言ってたから、もう知ってるんじゃないかなぁ?』
「新一、喜んでくれるだろうけど、きっと寂しがるよ」
『え?何で?』
「なまえのこと妹みたいに可愛がってたから、妹が嫁に行っちゃうお兄ちゃんの心境?」
『あははは。でも、みたい、じゃなくて蘭姉と新一が結婚したらちゃんとあたしのお兄ちゃんになるじゃん!二人はまだ結婚しないの?』


二人が結婚したら平次と新一が義理の兄弟になるのかと思うとおかしくて仕方なかった。





prev next