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- ナノ -
01
「悪ぃ、なまえ。今度の休みどうしても外せねぇ用事出来ちまってさ。その代わり、来週は絶対空けとくから!」
『うん、分かった。』

あたしの彼氏は工藤新一。
高校生探偵で有名なすっごく忙しい人。

事件が入ったせいで、デートのドタキャンもたまにあるけど、今みたいに送り迎えはしてくれるし、休みの日も用事がなかったらどっかに出掛けたり、新一の家に行ったりして、なんだかんだで一緒にいる時間を作ってくれるから、あたしは今のままで十分幸せだ。

「ちょっと、たまには新一くんに文句の一つも言ったらどーなのよ!?なまえがそんなんだから、あいつが付け上がるんじゃない!」
『でもさ、新一には新一の都合があるんだろ
うし、あたしもたまには園子たちと遊びたいしさ』
「まぁ、あたしもなまえと一緒に休日過ごすなんて久しぶりで嬉しいっちゃ嬉しいけどね。
最近ずーっとなまえを新一くんに取られてたから」
『取られてたって…新一はあたしの彼氏なんですけど?』

今日は園子に誘われて、久しぶりに二人で買い物に来た。
園子とは何でも話せる間柄だから、一緒にいるとスゴく楽なんだよね。

「あんな推理オタクのどこがいいんだか」
『推理に夢中になってる新一、カッコイイじゃん』
「はいはい。あんたのオノロケトークはまた後で聞いて上げるから。今日はパーっと買い物行くわよ!」
『ちょっと、まだ買うの?』

既にあたしも園子も両手に買い物袋を持ってる状態なのに、園子お嬢様はまだ買い足りないらしい。

「この先に新しく出来た可愛いジュエリーショップがあるのよ!」
『え?そうなの?知らなかった』
「この前蘭と買い物してる時に見つけたんだけどさ、その時は買えなかったから今日こそは買いたいのよ!」

あんなのが欲しいとかこんなのが欲しいとか二人で言い合いしてたら、目的のお店に着いて、

「ちょっとあれ蘭じゃない?」
『え?あ、ホントだ』

お店の中に蘭がいるのが見えた。
誰かと一緒にいるみたいだけど、その人は店員さんに隠れててよく確認出来ない。

『デートかな?』
「蘭ったら今日は予定があるからごめんねーとか言ってたのに!あんにゃろー…」

と、園子が唸りながら店内に入って行ったので慌ててあたしも中に入った。
ら、すぐに立ち止まってしまった園子にぶつかった。

『痛っ…。ちょっと園子?』

急に立ち止まってしまった園子に訝しげに視線を送ると、何やら驚いたように唖然としたまま固まっていた。
何があるのかと思ってあたしもそっちに視線を動かすとそこには…

『新、一…?』

蘭の隣で真剣にアクセサリーを眺めている新一がいた。

あれ?今日外せない用事があるって言ってなかったっけ?
外せない用事って蘭とのデート…?

「蘭!新一くん!ちょっとどういうことよっ!?」

園子が二人の元へ怒鳴り込んでたのを背後に聞きながら、あたしは急いでお店を後にした。
泣きそうになるのを堪えられなくて、でも二人の前では泣きたくなかった。
だから二人の前から逃げた。

一人はあたしの彼氏で、もう一人はあたしの親友。
二人は幼なじみ。

だから、二人で出かけることだってあるんだとあたしはあたし自身に言い聞かせながら、それでも二人で会うのを内緒にされてたのがショックで家に着くなり部屋に籠って声を抑えながら泣いていた。

教えてもらっていたら、きっと笑顔で楽しんで来てねって言えたのに。
内緒で出かけるなんてデートみたいじゃない!

二人を信じたいのに、涙は次から次へと溢れてきて、当分止まりそうにもなかった。



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