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キモチだけは込もってます! 01




1月の終わり頃から、うちは平次先輩に送ってもらうのも断って、速攻で友だちの家に通っとった。
何でやって?
そんなもん、バレンタインがもうすぐやからに決まってるやん!


「なぁ、そんな急に難しいもん作ろうとせんでええんちゃう?」
『あかんて!うちはちーゃんとキモチを形で表したいんやもん!』
「せやから、キモチが大事なんやから、難しいもんやのうても簡単なん作ったらええやんか」
『そんなん、平次先輩のファンの子らのチョコに負けてまうやん!うち平次先輩好きやってキモチだけは誰にも負けへんのに、そんなんイヤや!』
「あんたも頑固やなぁ」


はぁって大きくため息つかれたけど、自分が上手く作れる癖にキモチが大事なんや言われたって説得力ないわ。
これを俺のために作ってくれたんか?って喜ばせたいだけやん。何があかんねん。


「何があかんねんって…あんたずっとうちんとこ通ってるから、先輩とデートもしてないんやろ?」
『う゛っ…』
「なんや先輩、最近元気ない気するんはうちだけとちゃうと思うけどなぁ?」
『そ、それは…』
「服部先輩人気あんねんから、あんたがそうやってる内に誰かに取られてしもたりして?」
『もう堪忍してぇなぁー』


想像したら涙出てきたやんか。
どないしてくれんの!


「なまえかて、平次先輩と一緒に居たいんやろ?」
『当たり前やん!何の為にうちが今お菓子作り頑張ってると思うてるんや!』
「せやったら、先輩との時間も大事にしぃや。今年のバレンタイン月曜日なんやから、土日で頑張ったらええやろ?」
『うー…ホンマに手伝ってくれるん?』
「手取り足取り教えたるから、安心して明日からは先輩んとこ行きぃな」
『ありがとう!』


よし、明日は久しぶりに先輩の部活応援しに行こうかな?
そう思うてたんやけど、


『先輩、今日久しぶりに部活応援しに行ってもええですか!?』
「なんや、お前今日もどっか行くんとちゃうんか?」
『え?』
「ずーっと俺と帰らんと一人で帰ってたやん。何や大事な用があるんやろ?」
『そ、それは…』
「俺のことなんか気にせんと、そっち行けや」


なんや、先輩が冷たい気がする…。
うち、先輩の喜ぶ顔が見とうて頑張ってたのに何でこんなことになってしもたんやろ…。



「平次!あんた何彼女泣かしとんねん!」
「和葉!おまっ、どっから湧いてきたんや!?」
「失礼なやっちゃな!なまえちゃんずっとあんたに喜んで貰おうと思って頑張ってたのに、そんな態度でええの?」
「はぁ?」
『と、遠山先輩どこでそのこと…』
「毎日甘いチョコの香りして来てれば解るわ」


ってうちにそっと囁いてくれた。
遠山先輩がうちの味方してくれるとか…これ夢なんとちゃうの?
……それより平次先輩に冷たい態度取られたん夢やて思いたい。
まだわいわい騒いでた先輩たちの間に入って話を止めた。


『遠山先輩、もうええですよ。うちが悪いんやし…うち先に学校行きます』


優しくてカッコイイ平次先輩しか見て来んかったから、こんな風になるやなんて思ってなかった。
もう仲直り出来へんのやろかとか思ったら涙が止まらんくて、その日は教室に行かんと屋上でずっとサボっとった。
翌日、先輩は付き合い出して初めて迎えに来てくれへんくて、それから数日うちはずっと一人の登下校が寂しゅうて仕方なかった。
先輩、もううちのことどうも思ってないんやろか?
もう仲直り出来ひんのやろか?
先輩との楽しい思い出ばっか思い浮かべては泣いてばっかりおった。






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