27.2学期の始まり
気がついたら、知らない間に学校が文化祭一色になっていた。
中学の文化祭ってこんなに盛り上がってたか?と自分の記憶を辿ってみて、そういえばうちは一般公開してなかったんだと気がついた。
高校の時は文化祭までの期間も文化祭当日も確かに盛り上がっていたけど、この盛り上がり方はどうなんだ?
「なまえちゃんの写真めちゃくちゃ可愛いかったから、絶対うちのクラスが選ばれるよね!」
「他のクラスの写真も見てきたけどさ、みょうじさんと工藤のペアがダントツだよな!」
何故みんなして代表写真の話で盛り上がってるんだ?
そして今更ながらに知ったこと。
投票は1年だけでなく全学年で行われるらしい。
園子のヤツ、そんな大事なことは先に教えろってんだ!
「なまえ、あんた何さっきから頭抱えてんのよ?」
『誰かさんのおかげで頭が痛い日が続いてんの!第一、何でこんなにみんな盛り上がってるわけ?たかが主役決める投票なんでしょ!?』
「たかがとは何よ。それが一番重要なんじゃない!」
『なんでよ?』
「当日までの盛り上がり方が違うわよ!」
園子様、燃えに燃えてます!なガッツポーズをして下さいました。
はぁ、と大きくため息を吐いて机に突っ伏すと裏切り者がやって来た。
「何だよ。みょうじ、まだ写真のこと気にしてんのか?」
『このこと知ってたクセに黙ってた裏切り者に言われたくないわよ』
そう、工藤くんは知ってたのだ。
全学年で投票が行われることも、その投票がこれだけ盛り上がるということも。
それなら教えてくれたって良いじゃない!
何が「たかが文化祭の役者決めなんだから、園子の好きにさせてやればいいんだよ」よ!
こんな晒し者にされるくらいだったらあの場で写真燃やしてやったのにっ!!
「それにしても園子、あの写真よく出来てたな」
「でっしょー?あたしの自信作よ!」
『…何の話?』
確かに園子に写真を奪われはしたけど、よく出来てた、とは言わないと思う。
第一、工藤くんはあの写真、全部見てるんだし。
まだ何かあたしが知らないことがあるの?
「あのね、なまえちゃんと工藤くんの合成写真があるんだよ!」
なんて爆弾発言を花の咲くような笑顔で言ってくれちゃった明日香。
は?何だって?
「ほら、これよコレ!」
『なっ!?』
園子が無造作にあたしの机の上に置いた写真には、あたしが工藤くんに後ろから抱きしめられた格好で写っていた。
断じてこんな写真は撮った覚えがないっ!!
寧ろこんなシチュエーションになったことすらない!!
「な?よく出来てんだろ?」
『何なのよ、コレ!?』
「あんたたち二人の写真だけでも十分かなぁとも思ったんだけどさ、この方がインパクトあっていいでしょ?
だから、それも一緒に提出したのよ」
何してくれちゃってんだ、このお嬢様!!
誰もインパクトなんて求めてないからっ!!
って、ちょっと待って。
「工藤くん、こんな写真が提出されるって知ってたの?」
「おう!つーかこれ用の写真撮るの大変だったんだぜ?」
知ってたどころかこいつ共犯かよ!!
なんかあたし、工藤新一不信に陥りそうな気がしてきたわ…。
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