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あの後、なまえと河野さんと合流して今までいたんだけど…今度はこいつかい。


「悪ぃな、園子。呼び出しちまって」
「別にいいけど…新一くんがあたしを呼ぶなんて珍しくない?」
「ちょっとオメーに聞いて欲しいことがあってよ。みょうじが今日オメーも呼んだっつってたから」


何?そのついでに頼むよ的な言い方。
なんかムカつくんだけど。


「オメーもあの写真見たんだろ?」
「なまえの写真?見たけど?」
「あれ、どう思った?」


は?こやつ、その感想聞く為だけにあたし呼び出したわけ?
そんなの電話で済むじゃない!


「そうじゃなくって!あの男と一緒に写ってたヤツだよ!」
「は?朔夜さんのこと?」
「そー。ソイツのこと」


なんかえらく不機嫌になったけど、これってもしかして嫉妬?
は、まさかね。


「あの写真がどうかしたの?」
「オメーから見ても恋人同士の写真に見えっか?」
「は?」


真剣な顔で何言ってんの?こいつ。


「どっから見たらそう見えんのよ?」
「だって、手取りあって見つめあってただろ?」
「ちょっと待って。今現物持ってるから」


んー、確かにそう見えなくもないけど、無理があるでしょ?
だってなまえ、朔夜さんの顔ちゃんと見てないじゃない。
朔夜さんがなまえを優しい顔で見てんのにはちょっとムカつくけど。


「そうか?」
「嘘だと思うんなら自分で確認してみなさいよ。ホラ」
「いや、いい!」
「はぁ?」
「俺、その写真見てみょうじのこと怒鳴っちまったから、その、見たく、ねぇんだよ」


…こやつ、やっぱり朔夜さんに嫉妬したんじゃないの?
ってことは、


「もしかして新一くん、なまえのこと好きなの!?」
「ばっ、んなんじゃねーよっ!!」
「その真っ赤な顔隠してから言ってくれる?」


何よ、幼なじみが恋したらもう片方も恋するわけ?
いーじゃない!なんであたしには幼なじみがいないのっ!


「だ、って、俺はみょうじのこと父さんのファンのクラスメートとして見てただけで」
「で?」
「たまに家に泊まってったりしたこともあっけど、そんな風に思ってたわけじゃなくて、だな」
「何なのよ?」
「ただ、推理小説読むし、聞き上手だから蘭みてーに話の途中でぎゃんぎゃん吠えねぇし」
「それはあんたがホームズの話ばっかりしてるからでしょう!?」
「だから!みょうじはそれもちゃんと聞いてくれんだっつってんだよ!!」
「あんたのホームズの話を?」
「おう」
「飽きもせずに?」
「楽しそうに聞いてくれるぜ?だから俺もついつい話込んじまって」


ちょっと待って。
新一くんのホームズの話ってこっちが聞いてなくても一方的に続くのよ?
それをずっと聞いてるですって?
なまえもよくやるわ。


「もうその話はいいわ。それで?」
「だから、あの写真が出てくるまでそんな風に思ったことなくて、だな」
「あのドレス姿見て、こいつ可愛いなぁ、とか思っちゃったわけ?」
「いや、それはその前にもあんだけど」


あるんかい!
まぁ、いいわ。今ツッコむと話が進まない気がするから。


「母さんが恋人同士みたいだとか言うから、気になってアイツとの写真見たらかぁっときちまって」
「で、もしかして俺ってなまえのこと気にしてんのかなぁ?とか思っちゃったわけ?」
「おぅ…」


二人とも嫉妬で気づくって…幼なじみってここまで似るもんなの?


「でも、俺、蘭のこと」
「好きだったんでしょ?」
「いや、好きだとかそんなんじゃなくて!ただ、蘭のこと今まで気になってはいた、から」


なんだ。新一くんはどっちが好きなのか分かんないって相談だったわけね。
つまんない。


「だから?」
「んだよ。その興味なさそーな反応。オメーなら、二股かける気か!?とか怒鳴りそうなもんじゃねぇか」
「だって二股も何もあんたどっちとも付き合ってないじゃない」
「……」
「そりゃあ?どっちかと付き合ってて浮気したんだったら、一発ぶん殴ってやるけど?二人ともあたしの親友だし」
「……」
「でも二人とも気になるっていうだけなら、そのままでいいんじゃない?」
「え?」
「だって、今ならどっちか好きになるどころか二人以外を好きになる可能性だってあるんだし」


そんなの想像出来ねーよ的な顔してるけど、あんた中学入るまで蘭以外の女の子興味なかったじゃない。
恋なんて何がきっかけで始まるか分かんないんだからさ。


「そういや、なんで園子がみょうじの写真持ってんだよ?」
「文化祭の代表、蘭からなまえに変えることにしたから、書類に使うの選ぼうと思って何枚か借りたのよ」
「はっ!?俺は蘭が相手だっていうから引き受けたんだぞ?!」
「あっそう。じゃあ新一くんは降りるのね?」
「……」
「別に絵になる二人なら、あたしは誰でもいいし?バスケ部の期待の新人のタクミ君でもあんたと同じサッカー部のアキラ君でも他に声掛けるからいいわよ?」
「……」


ったく、そんな嫌そうな顔するんなら最初から大人しく引き受けなさいよね。


「いいのね?」
「俺がやってやるよっ!!」


何でそんなやけっぱちになるのよ。
他の人となまえがペアになるのがイヤだって素直に言えばいいじゃない。


「でも、あれに使うんならアイツとの写真はいらねーんじゃねぇのか?」
「あー、あれは別口。あたしの写真と合成させんのよ」
「オメーそんなこと出来んのかよ?」
「簡単な合成ならね。あれならあたしが上向いてる写真取れば簡単に合成出来るし」
「……」
「どうしたのよ?」


急に真剣に考え込んじゃって。
いくら待っても話してこないからイライラし始めた時、


「俺、みょうじの写真一枚貰ったんだけどさ」
「うん?」
「それ、後ろから抱きしめたくなるような顔してる写真、だったんだよな」
「……」


あんた、何目的でそんな写真貰ったのよ?
なまえの方は今日の様子見る限り確認もせずにあげたんでしょうけど。
…ん?ちょっと待って!


「それイケるわ!」
「は?」
「だから、その写真と新一くん合成させて、提出書類に混ぜちゃうのよ!」
「オメー、そんなことしたらみょうじが」
「黙ってりゃバレやしないわよ。今日までその話すら知らなかったんだから」
「でもよ」
「合成した写真、一番に新一くんにあげるから!」


それは考えていなかったのか固まってしまった新一くん。
これは落ちたな。


「わーった」
「じゃあ、また撮影日はメールで決めましょ。新一くんもその抱きしめたくなるとやらの写真送ってよ!」


まぁ、蘭のことはよく知ってるんだし、なまえのこと知るにはやっぱり二人を近付けさせるのが一番よね。
でも、あの反応と話を聞く限り、次に呼び出される頃には相手決まってるんじゃないかしら?

例え未来のことだろうと、あたしの親友、泣かせたりしたら許さないんだからねっ!


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