24.お姫様な一日
『え?望月さんのところですか?』
「そう。なまえちゃん、一人で行ける?」
『はい。道は覚えてるので大丈夫ですが…どうしてですか?』
さっき先生から、何とか原稿を終わらせたから約束通り明日は二人で出かけようと誘われた。
と思ったら、今度は有希子さんから電話が来て冒頭に戻る。
「優作が予約したお店ね、ドレスコードがあるのよ」
先生、そんなとこに中1を誘わないで下さい!
元の年齢でも行ったことがないのにっ!!
「でね、ヘアメイクは朔夜くんにお願いすることになったから、なまえちゃんのドレスとかも優作が朔夜くんのとこに送っちゃったみたいなの」
だからよろしくねって有希子さんは電話を切ってしまった。
まぁ、もう先生とのお出かけはOKしちゃったし、ここでドレスを着て望月さんのところまで行くわけにもいかないしと、ため息一つで全部諦めることにした。
第一、既にドレスは望月さんのところに送られちゃってるんだから、あたしに拒否権なんかあるわけがないんだけど。
そういえば、何時頃にあたしは出掛ければいいんだろう?
詳しい打ち合わせは一切してなかったことを思い出して、もう一度先生のところに電話を掛けた。
『もしもし?先生?』
「やぁ、なまえ君。どうしたんだい?」
『あたし、明日は何時頃に望月さんのところへ行ったらいいんですか?』
「有希子から何も聞かなかったのかい?」
『はい。詳しいお話は何も…』
「ふむ。支度に時間がかかるだろうし、2時頃でどうかな?その後、少し出かけてから、夕食にしようと思ってるんだが」
『分かりました。楽しみにしてますね』
支度に時間がかかるってそんな手の込んだことするのかな?
とも思ったけど、なんかもう今更な気がして、ツッコミを入れることもしなかった。
綺麗にしてもらえるのは嬉しいし、何より先生との二人きりのデートだもん!
望月さんに気合い入れてもらわなくちゃっ!!
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