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翌日、何とか迷わずに例の高級そうな高層マンションに着いたあたしを望月さんは優しく出迎えてくれた。


「なまえちゃん、いらっしゃい」

『今日はよろしくお願いします』

「綺麗なドレスが届いてるから、お化粧前に見てみるかい?」

『はい!』


って好奇心で迂闊に返事するんじゃなかった。
先生、一体何選んでくれちゃってるんですかっ!


「なまえちゃんに似合いそうな綺麗なドレスだろう?」


確かにデザインもウザったくならないように、でもよく見ると細かいところでは凝っていて、色もデザインもあたし好みだ、けど。

そんなことより、気になるところが別にある。
ドレスに詳しくないあたしでも一目見ただけでわかるだけのこの高級感!

コレ、めちゃくちゃ高そうなんですが!?
先生、これで一体ドコに連れてくつもりなんですか!!?


ドレスを見て固まってしまったあたしを、鏡の前の椅子にさりげなくエスコートしてくれた望月さんは、準備していたメイク道具でキレイに下地から仕上げていってくれた。
ってコレ…


『あの、このメイク道具って…』

「あ、気付いた?うん。有希ちゃんに頼まれてなまえちゃん用に用意したヤツと同じだよ」

『あ、やっぱりそうなんですか?見たことあるなぁって思って…』


なんだ、やっぱり先生の家のあたしの部屋にあるメイク道具と一緒だったのか。
あれって望月さんが用意してくれてたんだ。

…ん?あたし用に用意したって何ですか!?


「たぶん有希ちゃんと付き合ってたら、こういう機会もあるだろうなぁって思ってさ。俺がここでしたメイクを普段自分でアレンジしやすいように同じものを用意したんだよ」


そんな爽やかスマイルで話を流そうとしないでくださいっ!
って言いたいのに、何故かこの人には強く出れない。


話をしてる間も、望月さんの手は止まることなく流れるような動作で動いていて、どんどんメイクが仕上がって行く。

正直、もうメイク道具の話なんかより望月さんのしなやかな手の動きに釘付けだったりする。

シャドーとラインを引いてもらって、マスカラまで付けてもらうと目の前に自分じゃない人がいた。

いや、自分なのは分かるんだけど、中学生になったばかりのあたしじゃなくて、幼さは残っていても確実に高校生くらいに見えるあたしが目の前にいた。


「気にいってもらえたかな?」


目をぱちくりしているあたしに、望月さんが自信満々の余裕の笑みを見せていた。



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