「部長ー!」
「お、工藤。そいつはマネージャー志望か何かか?」
「じゃなくて、噂の差し入れしてくれてた俺のクラスメートです」
『はじめまして。みょうじなまえです』
「あぁ、君が!いつも美味しい差し入れありがとう!お陰で試合の日はみんな気合い入って助かってたんだ」
『?よく分からないですけど、喜んでもらえたなら良かったです』
工藤くんに誘われるままにサッカー部のみんなのところに行けば、部長さんをはじめ色んな人がお礼を言ってくれた。
そんな大層なことをしていたつもりはなかったから、何だかくすぐったくなる。
「でも今日が最後ってなまえちゃんもう差し入れしてくんねぇの?」
『あ、そういう意味じゃなくて…夏場は差し入れしても傷んじゃうかなって思ったので。お邪魔じゃなければ、また涼しくなったら作ってきますよ?』
「「「っし!」」」
『?』
「みんな楽しみにしてんだっつっただろ?」
何だか喜んでた先輩たちを不思議そうに見ていたら、工藤くんが眩しい笑顔で補足してくれた。
その笑顔はレッドカード並の反則です!
「今日は時間あんのか?良かったら部活見て行けよ」
『え?でも部外者がいたら邪魔なんじゃない?』
「なまえちゃん、気にしなくていいって!今日のマフィン分くらいは気合いの入ったミニゲーム見せてやっから!」
『ありがとうございます』
マフィン分の気合いってどんなんだろう?
何だかサッカー部って楽しい人たちが多いみたい。
あたしは先輩たちのお言葉に甘えて、特等席で観戦させて貰った。
やっぱりルールは全然分かんないけど、みんながすごく楽しそうに試合してるのは分かって、あたしも何だか楽しくなった。
中でも一番キラッキラしてる工藤くんを見ながら、サッカーのルールをまともに勉強しようかなぁって考えていた。
見ている人も楽しくさせるなんてスゴい!
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