×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



(番外編)新一side


みょうじに謝ろうと思ってはいるんだけど、何も言えないまま時間だけが過ぎていた。

今日こそは!
と毎回決意する割りに、誰かと笑って話してるみょうじを見ると簡単にその決意が揺らぐ。


俺にも笑ってくれっかな?

それしか考えられていない自分の頭に嫌気がさす。

俺ってこんなにバカなヤツだったか?


今日もみょうじは本を読んでたり、河野や他のヤツと話してたりいつも通りの生活をしてる。


俺、いつになったら言えんだよ。
と自分にため息が出る。

分かってはいる。
こういうのは早い方がいい。
遅れれば遅れる程、取り返しがつかなくなるからだ。


結局今日も言えなかったと、部活中にふと教室を見上げるとみょうじと目があって立ち止まってしまった。

何であいつがこんな時間に教室にいるんだ?
いつも放課になるとすぐにいなくなるようなヤツなのに。


でも、これはチャンスかもしれない。
部活が終わったら速攻で教室に行こう。
で、みょうじが居たら今度こそ謝ろう。

決意を新たに今は部活に集中することにした。


部活が終わった途端に着替えも後回しにして、全速力で教室に向かえば、扉の前に来た時には完全に息が上がっていて。

教室の中にみょうじがいた方がいいのか、いない方がいいのか、それすら考えることが出来なくなってしまっていた。


とりあえず開けてみてみょうじが居たら謝る、とバカの一つ覚えみてぇに考えて、扉を開けると驚いた表情のみょうじがこっちを見てた。


「(いた!)みょうじ!」

『工藤くん?』


俺を確かに確認したはずなのに、急に帰り支度を始めてしまったみょうじにめっちゃくちゃ焦っちまって、とりあえず急いでみょうじの席に行って謝ってみた。


『今更許すも何もないじゃない』


え?それって許してくれんの?くれねぇの?

どっちだよ。


自分ん中で逡巡してたらみょうじはもう帰ろうとしていて。

は?そんなに俺と居んのが嫌ってことか?

とショックを受けてる自分がいた。
でも、それは否定したくて、一つの質問をしたらあっさり否定された。

なんだよ、俺が自意識過剰ってことかよ!





確かにあの時みょうじと視線が交わったと思ってたのに!



- 53/327 -
prev next

戻る
[ +Bookmark ]