ちょっと…これはヤバいかな?
「みょうじさん、目の調子どう?」
『ちょっとヤバいかもですね。今ほとんど見えてなくて…』
「河野さんの親御さんとは病院で落ち合うようになったから、みょうじさんも早く病院で診てもらいましょう」
『はい。鞄の中の財布に保険証入ってるので、お願いしていいですか?』
で、診て貰ったら後頭部がちょっと切れてて襟首が血だらけだったらしい。
髪が長くて良かった。
短かったら確実に蘭たちに心配かけてたな。
そして後頭部を打ったと言うことで、精密検査の為に入院というシャレにならない事態になってしまった。
目には異常がなかったから、脳も大丈夫なら早ければ明日にでも普通に見えるようになるだろうということだったけど。
つくづく厄介なことで病院のお世話になる身体だ。
トリップしてまで、そんな特異体質を発揮しないでもらいたい。
……まぁ、今回のは…というより毎回自業自得なんだから仕方ないか。
『先生、このこと明日香には内緒にしてもらえますか?』
「河野さん?」
『はい。熱で大変なのに、心配かけたくないんです。これは自分で動いた結果なので。明日香のご両親にも内緒にして下さい。お願いします』
「…分かったわ。とりあえず貴女もゆっくり休みなさい」
学校で初めて話しかけてくれたのは、隣の席の明日香だった。
お昼も一緒に食べてくれて、いつもあたしのことを気にかけてくれた。
明日香には小学校時代からの友だちがたくさんいたのに、それでもあたしが一人だとあたしのところに来てくれて、友だちも紹介してくれた。
明日香は、あたしの大切な友だち。
だから、明日香を傷つけたくない。
傷ついて欲しくない。
いつも笑っていて欲しい。
明るい向日葵みたいな明日香の笑顔を守る為なら、あたしは何でもすると嘘偽りなく断言出来る。
あたしの怪我なんて何でもないよ。
このくらいの怪我で友だちを守れるなら安いものじゃん。
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