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機械音がしたので体温計を見ると、あたしは目を見開いた。


『先生!河野さん熱、39.6度もあります!』

「そう…先生は親御さんに迎えにきてもらうように連絡するから、河野さんの荷物持ってきてくれる?」

『でも明日香…河野さんの両親共働きって言ってたから、たぶん家に誰もいないと思うんですけど…』

「連絡が付かないようだったら、先生が家まで送るからそんな心配そうな顔しないで?って、貴女ひどい怪我じゃない!」

『え?』


指摘されて初めて確認してみると、庇った時にぶつけたのだろう腕やら足やらが痣になってたり擦りむいて血が滲んだりしていた。

でも、この程度でひどい怪我って大袈裟な。


『あたしは大丈夫ですよ。それより河野さんの荷物とってきま……あ、れ?』

「どうしたの?」

『何だか視界が白く霞んでブレて…どうしたんだろう?』


ブレた視界が白く霞んでよく見えない。
何度か瞬きをしてみたけど、状況は変わらなくてあたしは首を傾げた。

こんなことは今まで経験したことがない。


何だ?と、不思議に思っていると先生が心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。


「貴女、もしかして頭打ったんじゃない?」

『えっと…河野さんが倒れた時に庇ってあちこち打ったのは覚えてるんですけど、あの時は必死だったんではっきり覚えてなくて…』


保険医の先生は「貴女も無茶するわねぇ」と苦笑いしていたけど、緊急事態だったんだから仕方ないじゃないか。


「貴女もそこに座っていなさい。頭を打ったなら、病院で診てもらった方がいいわ。荷物は誰かに持って来てもらうから」

『大丈夫ですよ。河野さんの分と二人分荷物取ってきます。もうすぐ授業も終わるので』

「そう?それならその間に先生は河野さんの親御さんに連絡してるから気をつけてね」

『はい。お願いします』


教室に戻ってみると、蘭と園子が心配そうに近づいてきた。


「河野さん、大丈夫なの?」

『40度近い熱だったから、今日は早退だって。だから荷物取りに来たの』

「で、なんであんたまで荷物の整理してんのよ?」

『先生が念のためにあたしも病院で診てもらった方がいいっていうからさ』

「大丈夫なの?」

『平気平気。大丈夫だったらまた戻ってくるから!』


荷物をまとめて急いで教室を後にした。

だんだん目が見えなくなってきてるから、あんまり長いこといるとボロだしそうだし。




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