(番外編)新一side
母さんの態度だけだったら気にしなかったってのに、昨日の父さんの発言のせいで気になって仕方ない。
俺と同級生だって?
つまりはクラスメートってことだよな?いや、同学年って意味か?
どっちにしろ、知り合いで思い当たるヤツなんかいねーな。中学から入ってきたヤツか?
「だーもう!わかんねぇ…」
頭をぐしゃぐしゃとかき回して、机に突っ伏した。
んだよ、俺に教えられないって!
自分から俺に近づいてくるってことは…ねぇよな。
俺が見つけろって意味だろ?
とりあえずクラスメートを一人ずつ思い浮かべては、こいつは違うと消していく。
誰か見落としてねぇかなぁと見回してもみたが、そのくらいで見つかれば苦労はない。
「はぁ」
本日何度目になるか分からないため息を吐いて、また机に突っ伏したら、蘭がみょうじと話してるのが視界に入った。
そういや、蘭のヤツいつの間にかみょうじと仲良くなったらしくて、最近は勉強を教えてもらってるとか聞いた気がする。
ったく、勉強ぐれぇ俺が教えてやるってのに。
「新一!今日は部活が休みだから、園子となまえとお茶しに行くね」
放課後、蘭が俺の席に来たかと思ったら、用事があるから一人で帰れっていうくだらねぇことだった。
「なまえ?誰だよ、そいつ」
「ほら、あそこで園子と話してるでしょ?」
「ん?あぁ、みょうじのことか」
「そう。みょうじなまえ。だから今日は一人で帰ってね」
「なぁ、みょうじってどんなヤツだ?」
「なまえ?すっごく友だち想いで、優しくて、勉強出来て、運動出来て…」
「推理小説読んだりするか?」
「推理小説?さぁ?読むかもしれないけど、新一みたいに推理バカじゃないわよ?」
「推理バカってお前なぁ…」
「でも休み時間によく本読んでるよ?今日は洋書読んでるみたいだった。辞書もなしに洋書読めちゃうなんてすごいよね!」
「へぇ。洋書、ねぇ」
「あ、園子たちが待ってるから私もう行くね!」
なんとなく、蘭と一緒に出ていくみょうじを眺めていた。
今度どんな本読んでんのか覗いてみっか。
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