自嘲気味に笑っていると枕の隣に置いてあった携帯が震えた。
通知を見なくてもわかる。
こっちに来て、唯一携帯番号を交換した工藤先生だ。
『はぃ…』
「なまえ君?何かあったのかい?」
先生の声を聞いた途端、どうしようもなく安心してしまって、止まりかけてた涙がまた溢れ出した。
『っぐ…怖っ…夢、…見たので、先生の声…聞けっ…安心…しちゃっ…てっ』
「……」
先生に心配かけたくないから、我慢しようとしてるのに、何故か涙は零れるばかりだった。
『すみませっ…ん、すぐ泣き止みます、から…っ』
「いや、気にしなくていいよ。泣きたいだけ泣いたらいい。何ならこれからなまえ君の家に行こうか?」
『大丈夫です。先生も忙しいでしょう?
あたし先生にこれ以上迷惑かけたくないので』
先生の優しさに触れたら、涙でぐちゃぐちゃだけど何だか笑顔になれた。
やっぱり先生はすごい人だ。
「そうだ。今度の日曜日なんだが、予定は空いてるかな?」
『?空いてますけど、どうかしたんですか?』
「うちに遊びに来ないかい?妻が君に会いたがっているんだ。都合よく新一も試合で出かけていないことだし」
…工藤くん、なんか酷い言われようだな。
まぁ、あたしが脅したせいもあるんだろうけど。
『じゃあ、お邪魔しちゃってもいいですか?あ、でもあたし先生の家どこにあるか知らないんですけど…』
「朝10時に迎えに行くよ。闇の男爵が読み終わって、次に何を買おうか悩んでると言っていただろう?うちにある本でよければ好きなのを持って行くといい」
『え?貸して下さるんですか!?』
「もちろん。それじゃあ、おやすみ」
うっわ!
さっきまで気が動転してたけど、工藤邸に入れるだと!?
しかもあの本棚びっしりの部屋に入れるかもしれない!?
先生、あたしテンションあがり過ぎて眠れません!!
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