×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



自嘲気味に笑っていると枕の隣に置いてあった携帯が震えた。

通知を見なくてもわかる。

こっちに来て、唯一携帯番号を交換した工藤先生だ。


『はぃ…』

「なまえ君?何かあったのかい?」


先生の声を聞いた途端、どうしようもなく安心してしまって、止まりかけてた涙がまた溢れ出した。


『っぐ…怖っ…夢、…見たので、先生の声…聞けっ…安心…しちゃっ…てっ』

「……」


先生に心配かけたくないから、我慢しようとしてるのに、何故か涙は零れるばかりだった。


『すみませっ…ん、すぐ泣き止みます、から…っ』

「いや、気にしなくていいよ。泣きたいだけ泣いたらいい。何ならこれからなまえ君の家に行こうか?」

『大丈夫です。先生も忙しいでしょう?
あたし先生にこれ以上迷惑かけたくないので』


先生の優しさに触れたら、涙でぐちゃぐちゃだけど何だか笑顔になれた。

やっぱり先生はすごい人だ。


「そうだ。今度の日曜日なんだが、予定は空いてるかな?」

『?空いてますけど、どうかしたんですか?』

「うちに遊びに来ないかい?妻が君に会いたがっているんだ。都合よく新一も試合で出かけていないことだし」


…工藤くん、なんか酷い言われようだな。

まぁ、あたしが脅したせいもあるんだろうけど。


『じゃあ、お邪魔しちゃってもいいですか?あ、でもあたし先生の家どこにあるか知らないんですけど…』

「朝10時に迎えに行くよ。闇の男爵が読み終わって、次に何を買おうか悩んでると言っていただろう?うちにある本でよければ好きなのを持って行くといい」

『え?貸して下さるんですか!?』

「もちろん。それじゃあ、おやすみ」


うっわ!

さっきまで気が動転してたけど、工藤邸に入れるだと!?

しかもあの本棚びっしりの部屋に入れるかもしれない!?



先生、あたしテンションあがり過ぎて眠れません!!


- 19/327 -
prev next

戻る
[ +Bookmark ]