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ゆっくりとこちらへ歩いてくる有希子さんにちょっとずつ緊張で体が固くなる。

有希子さん、一体いつからあそこに居たんだろう?


「なまえちゃん」

『は、はい』


なんかムダに緊張する…
あたし、何言われるんだろう…?


「怖がらなくてもいいのよ。あたしも優作も貴女の味方だから」

『え?』

「誰かを頼るのが怖いなら、あたしや優ちゃんを頼ってきてくれたらいいの」

『……』

「優ちゃんとなまえちゃんって仲良しじゃない?怖がらずに優ちゃんにどーんと頼っちゃえばいいのよ!女同士の困り事ならあたしがいるし、ね?」

『有、希子、さん』

「なまえちゃんに何があったのかは、あたしには分からないけど、それでも今のなまえちゃんに手を貸すことくらいは出来るわ。だから、安心して私たちを頼って来てくれればいいのよ?」

『あ、りがっ…と、ござっますっ…』


この涙は一体何の涙だろう?
嬉しいから?

居場所を作ってくれるという二人の優しさに目頭が熱くなって頬を滴が濡らして行く。

なかなか止まりそうにないそれを服の裾で拭いながら、もう一度ありがとうございます。と出来る限りの笑顔を二人に返した。


「さぁ、目を冷やしましょう?せっかくお出かけに行くのに目が腫れたままじゃ台無しだもの」


と有希子さんはあたしに冷たいタオルを渡してくれた。


「あぁ、そうだ。なまえ君、私も買い物に付き合うことにしたから、今日は外で一緒に食事をとろうか」

『え?先生、お仕事は…?』

「仕事は帰ってからでも出来るからね。心配要らないよ」


絶対仕事サボって行く気だな。

とは思ったけど、あたしに気を遣ってくれてるのは明白だから何も言わないことにした。



三人でお出かけか…何だか楽しみだな。


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