「ねぇ、なまえ。今日一緒に帰んない?」
『ごめん、園子。今日は先約取り付けられてるんだ』
珍しく園子が一緒に帰ろうって誘ってくれたのに、今日は朝一で約束しちゃったから断らざるを得ない。
なんてタイミングの悪い…。
「約束ってまた新一くんのおじ様と?」
『それなら“約束を取り付けられた”なんて言わないわよ。今日は工藤くんから一緒に帰ろうって誘われたの』
「なんで!?」
『いや、あたしが聞きたいんだけど…』
身を乗り出してきた園子にとりあえず今までのことを話したら、そりゃあもう(何か善からぬことを企んでいるような)素敵な笑顔になった園子様。
『な、何よ?』
「新一くん来るまで暇でしょ?あたしも残ってあげる!」
『え?遅くなっちゃうからいいよ』
「大丈夫!あたしも新一くんに送ってもらうから!」
『でも…』
「はい、ストーップ!園子、オメーは邪魔だから帰れよ?」
「何よ?二人っきりで帰る必要なんてないでしょ?」
「そう毎度毎度オメーに邪魔されてたまっかよ。いいから今日は帰れ!いいな?」
それだけ言うと工藤くんは部活へと行ってしまった。
「何よ、あれ!失礼しちゃうわ!」
『でもさぁ、急に一緒に帰りたいとか一体どうしたんだろうね?』
「あんた、何か心当たりないの?」
『さぁ?前回送ってもらうの拒否したのを根に持ってる…ってことはないわよね。
でも、先生があたしを送ったからって自分も送りたいとか普通言う?』
「ねぇ、もしかして新一くん……」
『え?何?』
「ううん。やっぱ何でもないわ」
『ちょっと気になるとこで止めないでよ!園子!?』
教室から出るなっていうのを律義に守って、言い逃げした園子に電話を掛けた。
結局、あんたもしつこいわね!と逆ギレされてしまっただけで詳細を聞き出すことは出来なかったけど。
いや、あんな意味深にニヤニヤされたら誰でも気になるっての!
もう!今日はみんなどうしたっていうのよ!?
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