『ピアーズさん』

「……」

『ピアーズさん』


長期任務からのお帰りで、ここに来てからもやることいっぱい、やっと一段落着いたであろう彼はデスクから片腕をぷらんと垂らして、おかしな体勢で突っ伏している。心苦しいが彼を起こして上司からの召集を知らせなければならない。


『ピアーズさん、起きてください』

私はできるだけ優しく肩を揺らした。

コインが挟めそうなほど眉間に皺を寄せた彼は薄目を開けてのお目覚め。

「ん…」

『至急×○室に来るように、だそうですよ』

「ンン…」


意志はあれど体は睡魔に蝕まれ動こうとしないらしく、もぞもぞと死闘を繰り広げている。


『コーヒー淹れましたが飲みますか?』

「……」

ピアーズさんが手だけ寄越したので渡してみると、勢いよく起き上がり煽るように飲み干し、その勢いでデスクに手をついて立ち上がった。しかしすぐに眠たそうに項垂れる。いつもシャキッとしているピアーズさんの顔には薄い無精髭、そして長い溜め息。


『…大丈夫ですか?』


その問い掛けに対し、応えるように私の頭に彼は片手を乗せた。


――――わしゃ…、

『わっ!?』

―――わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃっ…!!!!

『ちょっとっ…!?』

正直かなり乱暴に犬みたいに頭を掻き乱された。
自分の頭ならわかる。何で私。
最後にポンポンと軽く叩くように撫でたら、怒っているわけではないのはわかっているが、珍しく無言で行ってしまった。

ちょっと寂しい。


====親しいからこそ====


「名前」


声の主はちょっぴりばつが悪そうなピアーズさん。


「さっきは悪かった。どうにも眠くてね」

『あぁ、いいえー、気にしてませんよー』


話せるだけで私はにっこり。
もう寂しくない。

☆おしまい☆

――――――――


ピ:あーかわいいーーよぉーしよしよしよしよしよし……

的な心情です。疲れてるときに天使降臨。
ピアーズさんは疲れてるとき無言になりそうなイメージあります。空元気は出しません。



全28ページ

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