星のおじさま | ナノ

19

『ただいま…』

日の暮れた頃、名前は帰宅した。
とぼとぼとリビングへ歩いて行く。

『!』

「あ、おかえり!」

ソファーに掛けていたのは主ではなく女性。名前は部屋を間違えたのか慌てたが、しかし彼女は「おかえり」という。

「ごめんね、びっくりしたよね。ウェスカーに頼まれて来たの。ジル・バレンタインよ」

腰を上げて近づいてきた彼女は名前にあるものを渡した。

『?』

「使えるかどうか確認したいから、いくつか質問させて?」

『?、え?』

「これでお腹の中に子どもがいるかわかるのよ」

『!』

これを忘れていたとは言わない、それでも少女は目を向けずに逃げようとしていた。


―――――――――――


「もしもの時は、彼女の心のケアをしてあげてほしい」

自分ができることには限界がある、ウェスカーは事態を説明し、ジルに助けを求めていた。


「わかったわ」

事情を聞いたジルは戸惑うことなく一つ返事で返す。

「すまない…」

「大丈夫、任せて」

場合によっては深刻な状況になり得る場面に直面する。たがジルは押し付けられたとは思わず、女であり、年も近い少女のためならと、快く申し出を受け入れてウェスカーの部屋にやってきたのだ。


―――――――――――


「……」

ジルはソファーに掛け少女が結果を持ってくる時を待っていた。

――ガチャン…

「!」

『……』

時期的に少女はキットを使用することが可能だった。
不安げな表情で結果を持って少女がドアから出てくる。


「はー…」

渡された結果にジルは項垂れ溜息を吐く。

『…!』

「…大丈夫よ。結果は陰性、何もなし」

顔を上げたジルの一言に名前も長く震えた安堵の溜息を吐いた。しかし「万が一体に異変が起きたらすぐに言うのよ?」とジルは付け加える。


「ちょっと待っててね」

ソファーに少女を座らせてジルは早速ウェスカーに報告を入れるため電話を掛けた、するとすぐに受話器が取られよく知る上司の声が応答した。


「そうか…、助かった。無理に長居する必要はない。もう帰ってくれて結構だ、悪かったな。後々礼は必ずさせてもらう」

「じゃあ期待してる」

相変わらず淡々とした様子だったが、ウェスカーの声はどこか安心しているようだった。


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