Straight To Video | ナノ

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―――――ピッ…ピッ…ピッ…

『………』

「!、名前…?名前っ!?わかるっ!?名前…!!」

『…………お母、さん…?』

「あぁっ…よかった…よかったなぁっ…!」

『……おと…う、さ…ん?』

曇る呼吸は酸素マスクのせいか、細く霞んだ視界で母は自分の手を握り泣きついている、挟むようにして両サイドに座っているのは両親だ。さらにその奥に二人並んで座っているのはホームステイ先のおじさんとおばさん。両親からの止まぬ問いかけは日々幻影を掴んでぬか喜びに終わり落胆する名前を悪夢から目覚めさせた。この手は、肌は、温もりは夢などではないと。

「終わったのよっ…!」

終わった、その一言は名前の心を強く打った。嬉しさに嗚咽を漏らし、仰向けに横たわる彼女の頬に、歓喜の涙がつつつと一筋を作って、尽きることなく水は溢れる。

ほどなくして気持ちは落ち着き、何があったか聞いてみると両親曰く、一年前にやはり自分は死んでいたことになっていた。バラバラになって燃えてしまった人がいたほど悲惨で、遺体の損傷が激しく特定することが難しかったとか、そこで偶然吹き飛んでか知らないが一人の死体が偶然自分の所持品を持っていたらしく、ずさんな管理のもと病院側のミスで赤の他人を名前と断定した。
そこで両親、くわえておじさんおばさんには一つの疑問が残る。

「生きていたならどうして出てきてくれなかったんだ…?なんで別人に成りすましてた…?」
とお父さん、「別人」という単語に引っ掻かった名前だったが、それよりはそのほかの説明の仕様がなく言葉を詰まらせる。
いつまでもまごつく名前を見かねておじさんが切り出した。

「親御さんの気持ちは十分に分かるつもりでいる。心配のあまり質問は山ほどあるだろうが彼女は混乱してるみたいだ。再会を喜ぶとともにここはひとまず物事を整理させる時間を与えてあげませんか?」

その通り、名前には考える時間が必要とされていた。何があってここにいるのか、思い出そうとすると靄が掛かったように記憶が霞んでしまうのだ。

『……っ!』

名前は目に映りこんできた光に瞬いた。個室の窓際、外は夕焼け、雲は焼け、血が降り出しそうなほど空は赤く染まり、沈みかけた太陽は思い出したくもない男の眼の輝きと酷似していた。


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All Title By Mindless Self Indulgence
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