倭火

「雨垂れ石を穿つ」


いつの間にか鳴かなくなった蜩
代わりに鈴の音が鼓膜を揺らす

久々に、
夜歩きを仕様か。

カタン コロン
カタン コロン

其処は存外近くに在ったのに
何故だか足を踏み入れた事は無くて
早十余年、来年には成人して終うかもしれないのに
初めて其公園に寄せられた

ジャリ タン
ジャリ タン

羽虫は夜風を切り裂き
地に這う蟲が、暗闇を謳歌する

独り
ブランコを中心に影が歪な放物線を翔ぶ

千紫万紅
百花繚乱
千変万化
古木死灰
色とりどりの火花の残骸
蝋の道筋、痕名残





あぁ、そうだね。
夏が終わって、仕舞ったね。


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