comfort

否定すれば安心出来た。
そうすれば何もかもを見ないで済んでいた。
肉芽の様に盛り上がって膨らんだ感情が、湧き出す血液にも似て噴き出す様。

最初から何も無かった。

夜の虹を潜り抜けたらお前に逢えるのかも知れない。有り得ないと知っているのに、夢に視続けては繰り返す。

だから一体何になると云うのだ。

後悔はしていない。意味の無い事だから。亡霊だとお前は云った。
構いやしない。
秘めやかに薄ら笑みを浮かべ、握り締めた手に滲む血液を猫の舌触りが舐めていたのは夢幻。

研ぎ澄ました爪を星月に掲げて嗤う。
思いっ切り泣ける程純粋ではないのだから。

貫いたのは暗い胸腔。





せめて、布団の中だけは温かく迎えて呉れようか。


prev / next

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -