役に立たん門番じゃのう
目が覚めたら霧の濃い森の中だった。何やら爆発音やら悲鳴で騒がしい方へ足を進めると辺りは何とも形容しがたい死体が転がっていた。
「!!」
突然足首を掴まれ反射的に身を引くと、白いフード付きのツナギのようなものを着た男の人が正に息も絶え絶えといった様子で地面に這い蹲っていた。
「こ、これ……を、黒の……っ、き、教団……に……!」
男が手にしていたのは木で作られた十字架の古びたロザリオだった。
「黒の教団?」
「っそうだ……!! イノセンスをっ、奴らに……! 『AKUMA』に渡し、ては……いけないっ……!!」
そうして事切れた男には悪いが……、行きたくねぇぇぇぇ!! 『黒の教団』『イノセンス』『AKUMA』って、……マジか、マジでか? マジなのか!
――どうにかこうにか教団に着いたはいいものの……嫌な予感しかしない。今までのパターンでいくのなら確実に私は、
「こいつアウトォォォー!! 『AKUMA』だ! 『AKUMA』が攻めてきたぞォォォ!」
――ほらね……。絶対この眼が引っかかると思ったよ。何の因果か私の『万華鏡写輪眼』の模様は上下逆さの五芒星。所謂『ペンタクル』だ。
生物なんだかゴーレムなんだかよく分からない門番が泣きじゃくって叫びまくる。
「いや、ですから、少し落ち着いて聞いてくださいよ」
「話し掛けられたー!」
「あのですね、私は只このロザリオを黒の教団に届けてくれと頼まれただけで、他意はないんで――」
「だずげでー!」
「えと、ポストとかあればそこに入れとくので――」
「い゙や゙ー!!」
「何なら私書箱でも――」
「気持ち悪い顔の『AKUMA』に襲われるー!!」
「――ア゙ァ゙ン゙?」
もう怒った。怒っちゃったもんねー。お気に入りのお面を気持ち悪い呼ばわりした罰を与えます。
「うぎゃー! 触るな『AKUMA』が移るー!」
「――雷切」
最大出力でお見舞いだZE★
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