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 アカギと夢主の5本勝負 その一 悪戯…19

「夕飯出来てますから、召し上がったら?」



深夜に帰宅したアカギはおや、と思った
疑問をそのままに手を洗い、ちゃぶ台に並べられた夕食に手を付ける
大根の風呂吹き、そぼろ、お浸し、納豆と簡素だが丁寧に作られたそれらを口に運ぶ



「今日はどちらにいらっしったの」



次の一言で疑問が晴れることとなった
向かい側の水野は薄ら笑いを浮かべていた
こういう時にやられると憎たらしい笑みである



「なんでタメで話してる」


「戯れに」



ぞわりと悪寒が背筋を走った
狐は時々こういった性質の悪い悪戯をする
今まで水野が敬語以外の言葉で話しているところは見たことがなかった
扱う言葉が違うだけでこうも人格まで違って見えるとは



「止せよ」


「何故?」


「鳥肌が立つ」


「思ったよりも効いているみたいね」



咀嚼していた大根をなんとか飲み込んで、水野を睨むが効果はなさそうだ
誘うような語調は色香を帯びている
敬語でもうっすらと漂っているものは話し言葉によって著明になった



「…あんたって敬語以外で話すことってあるの」


「あってよ」


「何時」


「相手が望むのなら何時でも」


「…わかった、俺の負けだ」



自分が狐の口車に乗って勝てるはずがない。
アカギが両手を軽く上げ降参の意を示すと、水野は満足気に笑った。




一本目、夢主の勝ち。

次は盲将棋でもさせようかしら。
リハビリがてら、軽い掌編で練習してます。
対戦内容もゆるく募集してますので、拍手で対戦内容の一言でも送ってやってください。



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