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枡視率いる幽遠寺組は健在だった
ただ昔ほど大きな組織では無く、当主の枡視の目が届く範囲の規模で動いているようだ
枡視の信条が行き届くようにという意図だろう
随分お人好しの組長だと思ったが、本当にそうだったか
仰木に話をつけてもらい、後日枡視に会いに行った
枡視の反応はあまり芳しいものではなかった
水野とは軽井沢へ逃れることになったあの一件以来連絡を取っていないという
生死すらも不明だと言った
枡視も水野にかなり思い入れがあるらしく、探し回ったようだ
それでも見つからないとなると枡視の知っている範囲外に居場所は絞られる
「どうしてそう水野さんに肩入れするの」
「あの人は俺の教育係だったのさ。色んな稽古事を付けてもらった、琴やら、舞いやらな、麻雀も教わった。年の離れた姉さんみたいなもんだ」
楽しそうに庭を視やる幽遠寺の視界には、昨日のようにそのことが思い出されているのだろう
アカギの知る限り、水野を知る伝はもうあと一人しかいない