企画 | ナノ


――お前達を、許すものか。


青い花の咲き誇る丘を前に、彼はそう言って切歯した。


無知なるものによって、それは穢された。

愚かなるものによって、それは歪められた。

卑賤なるものによって、それは埋もれた。


それとは、価値である。それとは、真実である。


これは、物の本質を見ようとすらしない咎人達の手垢に塗れていいものではない。
あと幾千幾億星が廻ろうと、決して生まれることのない奇跡。唯一無二なる人類の宝。

自分がこの世界に生まれた意味があるのなら、それは――正しき眼を以てして、これを守る為に他ならない。


神より貴きものに触れるように、男は額縁に手を伸ばし、其処にかの絵画があるという事実にのみ触れた。


男の中にあるのは、独占欲ではない。寧ろ、真逆の感情がその胸に宿っている。

だからこそ、彼は憤り、嘆く。何故誰も、あの御方の本質を理解出来ないのかと。

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