▼ 十二回目
「汚かった……死ぬかと思った」
なんとか復讐者を退けることができた。時間まで持ちこたえたの方が正しいが。お陰で時計も無事だ。
今はそれぞれ休養時間で思い思いの時間を過ごすとき――俺はいつものように跨がってボスにくっついている。ていうか、寝そう。
「……オイ」
「んー……」
「ナマエ、」
「…ッ痛い!痛いですボス!!!」
ガッと髪の毛を引っ張られて逞しいボスの体から頭を引き離される。眠気覚ましにしては激しすぎだろ。
ハゲたらどうしようかと頭を撫でながらボスを見れば、シャツから覗く鎖骨に釘付けになってしまった。
やっばいわ吸い付きたい。
「…………」
「…………」
そんな俺の思惑に気づいたのか、スウッと紅色が細められる。そして口角を上げた。
ちょっと…それ、反則です。
「あのボス……、」
欲望丸出しで声をかけたら、
「はっ………好きにしろ」
ボスがデレた。
もちろん俺は直ぐに彼の鎖骨にキスを落として首筋に吸い付く。空いている手ではベルトを外した。
ついでに自分のも。
「一緒に、扱いてもいいですか?」
ちゅっちゅっ、とリップ音を鳴らしながら手はもうチャックを下ろしている。
まずベルトを外したら自然と手が動くのだから仕方ない。
「………黙ってヤってろカス」
「ボスは声出してくださいね」
「るせぇ」
「………我慢しないでくださいってこと」
ムッと可愛く頬を膨らましてみたら、鼻で笑われた。
柄じゃないことしないほうがいいな。
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