▽4日





「黄瀬くんと会いました?」


「いつ?」


「昨日です」


「ああ。会ったかなあ」


「……火神くんから聞きました」


「ああそう」


はらり、1頁本をめくった。ちょうど物語の中枢が語られている


「犯人、教えましょうか?」


「犯すぞ」


「………」


ぎゅうっと背中越しに感じる温もり。俺が読んでいるこれはテツヤからオススメだと借りているものだ


「名前くん」


「んー…」


「名前くん、」


「…………」


「……犯人は―」


ぱたんと本を閉じた。本当に言い兼ねない


「…で、どっか行きたいの?シェイク?犯されたい?」


「………」


ぼふ、と一気に赤く染まった。きっとろくでもない事を頭の中で考えたんだろう。


「今日は…ダメです」


「わかった。じゃあスポーツ店でも行く?俺、新しいスパイク欲しいんだ」


「ボクが選んでもいいですか?」


「いいよ。用意は…できてるんだな」


「名前くんもです」


携帯と財布、そしてカギを持って玄関へ向かう。男は女の子と違って荷物も必要最低限だから楽だよなあと思ってしまった


「さっぶ。テツヤ大丈夫?」


「黒子です。苗字くん」


「厳しいな、黒子」


はあ、と息を吐けば白い靄が広がった。そういえば今日はいつもより冷えると言っていたかもしれない


「…帰りはマジバ行こ」


「はい」




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