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「つ、かれました」


ううっ…と机の上でうなだれるテツヤをファミレスのメニュー表で扇いでやる。お、このパフェ美味しそう。


「苗字くん手加減してください…」


「ごめん、息が上がるテツヤが可愛くてつい。いい加減名前くんって呼んだら?」


「……名前くんの変態」


ボソッと上目遣いで言ったあと俺からメニュー表を奪いとって何にするか横文字を追いかけていく。
見事に不意打ちを食らった俺は数秒トリップして現実に戻る。なんだ今の。


「苗字くんは何にするんですか?」


「…、…適当に今日のオススメとか」


「そうですか。じゃあ、苗字くんに任せます。押しますね」


ぴんぽーん、とファミレス特有の音が店内に響く。テツヤはその作業を終えると人間観察でもするのか窓の外へ顔を向けた。俺はもちろん小走りでやってきた店員さんに注文をしていく。テツヤはがっつり食べるわけないし、あっさりめでいいだろう。ドリンクも適当に頼んだ。


「…………」


じいっと外を見つめる彼は無表情だ。何考えてるんだか。まあ昔よりは豊かになったかなあと色々な気持ちを篭めて彼を見つめていれば、突然視界に面倒な奴が乱入してきた。


「う、わ…!」


当然驚いて思わず飲もうとしていた水をぶっかけてしまったわけだが、俺は謝らないぞ。


「ぶっっっ―ちょっ!!名前ちゃん辛辣!!!」


冷てー!!と言いながら俺のおしぼりで遠慮なく顔を拭くコイツに今度は熱湯をかけてやりたいと切実に思う。


「高尾くん、」


「よっ、黒子。あけおめ!!名前ちゃんもことよろ!!」


「今年からさようなら高尾和成くん」


なんでこんなテンション高い奴がひとりでファミレスに来てるんだと顔を上げれば真太郎が居た。そういや同高とか言ってたな。


「高尾、早く帰るのだよ。これは手に入った」


「え…真ちゃんマジでそれだけの為に…っ、やべ…笑いそ…!」


ふるふる震えながらしゃがみ込んだ高尾和成くん。イマイチ状況がつかめないが早く帰ってほしい。俺とテツヤの邪魔をするな。




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