▽31日



時刻は23時40分くらい。
テツヤから会いたいというデレたメールが届いたので適当に理由をこじつけ家から待ち合わせ場所へと駆け付けたのだけれどいつもの雰囲気ではなかった。


「テツヤ?」


「………黒子です」


「どうした?元気ないけど」


「違います」


「…?」


「機嫌が悪いんです」


「あ、そう」


む、とするテツヤだが、あのメールを貰っている俺には照れ隠しにしか見えない。普通自分から機嫌悪いって言わないだろ。


「苗字くんのせいで、バレました」


「バレたって…」


「いつ黄瀬くんに彼女がいるなんて言ったんですか」

「ああ……あれか」


そういえばそんなことあったなあ、と。あの日は俺の口が軽かった。けれどテツヤだとは言ってなかったはずだ。まあバレてしまったからには原因が俺にあるんだろう。俺はバレてもいいんだけど


「苗字くん」


「うん」


「シェイク奢ってください」


「意外と安いな」


「新刊もお願いします」


「ちゅーは?」


ぱちり、

数秒間を置いて、意味を理解したらしいテツヤは一気に頬を染めた。


「ここでするんですか…?」


「テツヤが嫌ならしない」


「黒…子です」


「黒子、」


「嫌じゃ、ないですけど…」


「じゃあ、」


唇が触れるか触れないかの距離、躊躇いながらもゆっくり彼の瞼が閉じられる。

それに合わせるように、俺もゆっくりと唇を重ね合わせた――――もうすぐ年が明ける




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