▽23日



昨日とは打って変わる晴天。俺はここら一帯のオススメが特集された雑誌を読んでいた。さすがオススメだけあってどれも心惹かれるものばかりである。はらりはらりと一頁ずつ大まかに読んでいれば、急に頁が暗くなった。誰か来たのだ。けれど、ここは大学のバスケコートの近く。来るとすれば火神で、ジュースでも買ってきてくれたのかと顔を上げて、後悔した


「こっちのが面白いぜ」


ニヤリとその雑誌の上に置かれたのはいかがわしい雑誌。あおみねくんおっぱい好きなんだと一目で解った。ちなみにでかいほうだ。それほどの表紙である。昨日の今日でやめてほしい。昼間から堂々と何を持ち歩いてるんだと無言でそれを隣りに置いた。


「遠慮すんなよー」


「……遠慮以前の問題」


さっと立ち上がって、面倒なことになる前に彼の横を通り過ぎる。


「おいどこ行くんだ?相手しろ」


彼が親指を向けた先、言わずもがなバスケコートだ。わざわざこっちにまでバスケをしに来るのは構わないが、挑みにきた相手を間違っている。


「……俺がバスケできないって知ってるだろ」


「足ですりゃいー」


馬鹿なのか。
そう何度も上手くはいかない。テツヤが居たならまだしも、今の俺にはやる気さえないのだ。完全にクリスマスのことで頭がいっぱいである


「火神に頼めば?呼ぼうか?」


「2対1だな、いいぜ」


「………」


ああ、埒が明かない。話が噛み合っていないし。
まだキセリョが来たほうがあしらいやすかったに違いなかったろう。運がないなとスマホを手にとって、迷うことなく火神に連絡したのだった―




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