▽16日



日付が変わる頃、俺はやっと家に帰った。明かりはついていない。なんとか重たい頭を押さえて手探りでぱち、と玄関の明かりをつけた。


「痛って……」


飲み過ぎた。
久しぶりだと限度が分からなくなる。お風呂で酔いを少しでも覚ましたいが、もう体は動きそうにない。明日は講義があるけれど、駄目だ


明かりに目を細めながら、壁にもたれ掛かかって、ひとつ息を吐いた。あつい。とりあえず上着を脱いでカチャカチャとベルトを外す。ついでに居酒屋で脱ぎかけていたシャツをすべて脱いだ。たったそれだけのことなのに頭はくらくらだ。でもまだあつい。けれどズボンを脱ぐ力も着替える力もない


「……だる」


ぱち、と明かりを消して暗闇の中、自分の感覚を頼りに洗面所にある洗濯機へシャツを放り投げた。それから部屋に入ってすぐ、ベッドに横になる。


「………遅かったですね」


「ん……ただいま……」


テツヤの声が聞こえて、彼を見れば本を読んでいたみたいだ。どおりでベッドが広いわけである


「あの……名前くん、、風邪引きますよ」


「…あつい」


「………………せめて布団かぶってください」


「むり」


「………困ります」


「なにてれてんの、」


「…違います」


「じゃあこっちみて」


「………」


「ほら、みれな……っ―やば、はきそ……ねるわ。おやすみ」


これ以上調子に乗ってはせっかく胃に納めたものが台なしになりそうだからさっさと目を閉じた。明日の朝飯は作れなそうだなあ。




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