▽■ 「苗字っちー!」 今日はもう講義はないからと友達と大学でサッカーをしていた。そんなところに物凄く笑顔でシャララ〜とコートに乱入してきたのはキセリョ。暇つぶし程度だろう、試合を見ていた女の子達が悲鳴並の声をあげた。名前ばれてるテツヤ、超ばれてる 「……………」 「青峰っちが教えてくれたんス!!ほんとに苗字名前だったんスね!!あの時はちょっと取り乱して…あれッスけど…あーもー黒子っちずるいッス…!俺も苗字っちと仲良くなりたい!」 つらつらとあまりにもマシンガントークすぎてテツヤが恋しくなった。あおみねくんも口が軽いみたいだ 「…………そう」 偶然にもボールを持っていた俺は、雑誌の腹いせにと足でそれを持ち上げて彼の手にパスする 「へ?」 「遊ぶ?文句ないと思うけど。サッカーできるらしいし」 「っ!!はいッス!!」 キラキラ瞳を輝かせて承諾した。友達にはあまりこの遊びに参加しないよう目配せする 「あ、もしかして雑誌見てくれたんスか??嬉しいッス〜!!」 「…………本気で来ないと顔面潰れるぞ」 「大丈夫ッス!!俺サッカー上手いんスよ!苗字っちこそ本気で来てほしいッス」 とん、とボールを地面に置いて、ドヤ顔をかましてきた。ご期待に応えようじゃないか 「行くッスよ!!」 「はい勝ち」 「え?!」 キックオフを見計らって左足でロングシュートをする。それはポストに当たることなく決まってくれる。余裕だなあ。女の子達も歓声をくれた。ありがたい 「……じゃあ帰る」 「待っ…なんスか今の?!もう一回見たいッス!!あ、でもこんな感じッスよね」 ボールくださーいっとゴール近くにいる奴に声を張るキセリョ。そして飛んで来たボールを俺にパスして、さっきみたいにキックオフしろと言ってきた。だから言われた通りにしてやれば、すぐさまビュンッと音を立てて反対側のゴールへとシュートが決まっていた。しかも左足で。黄瀬くーんと彼のファンが煩い 「どうッスか!」 「……ふーん………」 誰か彼にスパイクを貸してあげてほしい 「3本」 「さんぼん?」 「先に取ったのが勝ちってことで」 「………勝ったらアドレス交換ッスよ」 「…………」 フッ、と微笑んで腕まくりしたキセリョ。それが目的で大学来たな ← / → |