▽13日



「火神」


「なんだよ」


「火神が前屈み」


「は……………」


「火神はー」


「お、おい…」


「鏡餅!火神がー」


「…苗字…?」


「鏡で決めポーズ!」


ビシッ!と人差し指を向ける


「………」


「キタコレ!って伊月さんが言ってた。たまたま朝会ったんだ」


「朝からどんな会話してきてんだよ!?ダジャレから入んな焦るだろ」


学内を移動中、偶然火神を見つけて声をかけた。大量のパンを持っている


「どんなって…火神と楽しい大学ライフ送ってますって言ったらああなった」


「いやどうだよ!意味わかんねぇ」


「ハッ、火神…!火神が、」


「マネすんな」


「意味わかんねぇって言うから」


「そーいう意味じゃねぇよ」


「そう」


「今日も機嫌いいな」


「テツヤがかわいいから」


そしたら彼の表情がげんなりした。なにやら彼曰く惚気ている俺の扱い方が分からないらしく、そうなってしまうみたいだ。そんなに頬は緩んでいないはずだけれど。


「しばらく苗字と距離置いていいか」


「ごめん火神、付き合った覚えない」


「ちげーよ!!」


ぼとぼとぼと、
積み上げられていたパンが廊下に落ちる。俺のせいじゃないよ今の。火神だぞ


「あーあ。俺が貰うよありがとう」


もちろんそれらを手に取って、ダッシュする


「なっ!?おま…苗字!!ふざけんな!!!!」


拾ってくれると油断していたのだろう。ひと足反応が遅れた火神。甘いなあ。飯代浮いたや、サンキューベリーマッチ




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