『寿司美味かったなーバジル』
「はい!!山本殿のは今までで一番美味しかったです!!」
『子供に人気だったんだなーランチアさん』
「…オレもあそこまで気に入られるとは予想外だ」
『いい天気だなー』
「名前さん、サボるのはいけません…!」
『あ、バレた?』
上手く流れをこっちのものにして抜け出そうとしたのだが。どうやら彼にはお見通しのようだった。仕事詰めは目に見えているんだ、俺が持つイタリア行きのチケットには。
はあ、とため息を吐きながらまた歩き始めたら、なにやらこちらに駆け寄ってくる人影
「待って!!待ってよ3人とも!!」
『あ、』
「沢田殿!リボーンさん!」
「ボンゴレか」
それは綱吉くんだった。
「な……何も言わないで…イタリアに帰っちゃうなんて…」
「すいません!急な招集がかかったんです。みなさんお忙しいと思いまして…」
『右に同じく』
「オレは湿っぽいのは苦手でな」
「でも…って、、あれ…?ランチアさん、蛇綱球は?」
「ん、あいつはいろんな検閲にひっかかるのでな…運び屋にまかせてある」
「そ…そうなんだ…」
いや、綱吉くん。あんなでかいの持って空港に現れたらランチアさんさよならだろ。超直感どこいったんだよ。
声には出さないが、思い切り心の中で言い返す。きっとリボーンさんには丸聞こえだろう。
「ランチア、クロームに聞いたんだがおまえが骸に呼ばれてきたってのは本当か?」
「え!?」
「いいや…骸とはあれ以来一切接触がない。ただ、大空戦の前日に妙な虫の知らせがあったのは確かだ…奴に長時間憑依されていたために他の人間よりも奴の考えを感じとりやすくなっていたとしたら…―皮肉だな」
「ランチアさん……」
「気にするな。骸を許す気はないがこれでおまえの役に立てたのならば本望だ」
「また…亡くなられたファミリーの家を回る旅ですか?」
「ああ、一生をかけて償うことしかオレには出来んのでな」
「そんな…」
「そうだ、こいつをおまえにやろう」
「え?」
「オレのボスの形見だ……ボンゴレリング程立派なもんじゃねーけどな」
「なっ…そんな大事なもの……!!」
「遠慮はいらん。これはオレの意思だ……」
「これは拙者からです!沢田殿に合うかわかりませんが、もしもの時使ってください」
どんどん入りづらい空気を作り上げてくれると思ったら、まさかの二人が綱吉くんにお礼を渡すという事態に、必然的に俺へと注目が集まる形になってしまった。
『おいおい二人して…俺もなんかやらねーとみたいな空気にさあ、』
「ねーのか?」
『なっ!』
「こらリボーン!」
本当になにも持ち合わせていない。これはマジだ。
「あ、あの…苗字さん!すみません!大丈夫なんで…!」
『……ッチ。これやるわ』
「なっ、刀ーーー?!」
『俺の形見』
「縁起悪!!い、いや苗字さんオレ刀使わないし…!!」
『それが折れたときは俺が死んだと思えよ。じゃ、バジル、ハネムーンへ行こうか。ランチアさんは来ないでくださいよ』
「んなー!?もっと縁起悪ーー!?」
「名前さん…イタリアへ招集がかかっています。そちらに参りましょう」
「おまえらに着いていくほど暇ではない」
『……堅物ばっかだなおもしろくない』
またひとつため息をはいて、綱吉くんに手を振った。
『さようなら、次会うときはちゃんとボスなってろよ綱吉くん』
「では、」
「な、ならないよ!!で、でも…ありがとう!気をつけて!」
家光さんが休養中だから、きっと忙しいだろう
おわり。
Thank you very much!!
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