「もうこれが溶けることはない」
「そんなことが……」
「あの氷は死ぬ気の炎と逆の力をもった負の超圧縮エネルギーみてーだな」
「ではこの勝負…」
「ああ、ツナの勝ちだ」
「や…やった!!」
『あたりまえだろ』
一応家光さんの子供で家光さんに選ばれたんだ。一応。
「XANXUSは…冷凍仮死状態か…」
「ああ、おそらく…‘揺りかご’の後8年間眠っていたのと同じようにな」
「!……なるほど。これで話がつながるな」
「さあ話してもらうぞスクアーロ。8年前の揺りかごであったことを…」
皆がスクアーロへ視線をやれば、乱暴に話をまとめあげる。彼には今、綱吉くんに凍らされたザンザスのことの方が重要なのだろう。
「おまえらの想像通りだ。9代目に奴は凍らされた…それだけだぁ―――う゛お゛おい!!オレをここから出せぇ!!」
「それはなりません。規定の勝敗条件を満たしておりませんので…」
「うるせぇ!!出せぇ!」
「やめろスクアーロ!」
『!!…綱吉くんが―』
「気力の限界みたいだな」
スクアーロに気をとられていたら、モニターの向こうでは彼―綱吉くんがガクッと膝をついていた。
そのとき、
「今がチャンスね!!死になさーい」
動けないはずのオカマが飛び出してきて心臓が跳ねる。あれは術だな。それは綱吉くんも理解していたようだ。
「幻覚……」
「ムム、よく見破ったな。でももう這う力すら残ってないようだね」
「ムダだ…XANXUSは眠りについた…」
「それはどうかな?むしろボスが次期ボンゴレの後継者になるための儀式の準備がととのったのさ」
「……?」
「ボスは再び復活する」
何を今更かと思いきや、マーモンの手の平、大空のリング以外のすべてのリング―すなわち守護者のリングが揃えられていた。
『まずい…』
「なぜリングを半分ずつ保管するのか…そしてボンゴレの正統後継者にしか授与されないのかわかるかい?それはリング自身にも秘められた力があるからさ」
「秘められた…力……?」
「ボスにかけられた9代目の零地点突破が溶かされた床には7つの小さな焦げ跡が残されていたという…誰がやったかはさだかではないが、この形跡は一つの仮説を立てるに充分だ」
ボウッ―綱吉くんの持っているリングから炎が溢れた。それはマーモンの持っているリングも然り
「思ったとおりだ――見るがいいさ」
ジュウウウウウ、と溶けやしないはずのそれがいとも簡単に溶けていく―
「これだけではないよ。7つの完全なるボンゴレリングが継承されし時、リングは大いなる力を、新たなるブラッド・オブ・ボンゴレに授けると言われている」
「!――ボンゴレの…血に……?――!!」
「返してもらうぜ、これは正統後継者のリングだし」
「ベルフェゴール!!あいつ無事だったのか!」
『大空まで横取りかよ…』
そしてついに、すべての氷が溶けきってしまう―――
「おかえりボス!」
「いよいよだよ」
「リングを…よこせ…」
「もっちろん。これはあんな亜流のニセモノじゃなくて9代目直系のボスにこそふさわしいからね」
「!…ま……ハァ―…っまて…」
「結局最初からこうなるって決まってたのさ」
「10代目!」
「ツナ!」
「ああ!!」
嵐野郎を筆頭に駆け付けてきたが時既に遅し。
「どいつもこいつも新ボス誕生のために立会いごくろーさん」
「受け継がれしボンゴレの至宝よ、若きブラッド・オブ・ボンゴレに大いなる力を!!」
チェーンへ最後のひとつがはめられ、ベルフェゴールが奴に大空のリングをはめた。
途端に凄まじい光が瞬き始める
「こ……これは…!!力だ!!とめどなく力があふれやがる!!!これがボンゴレ後継者の証!!ついに……ついに叶ったぞ!!これでオレはボンゴレの10代目に…―――がっ!!」
『げ…痛そう』
誕生の日も虚しく、ゴパッと血がそこかしこに散らばる。さすがのザンザスもそのまま倒れてしまった。
「がはぁ!!」
「ボス!」
「どーしたんだ!?ボス!」
「バ…バカな!!まさか…!!」
「…………リングが…XANXUSの………血を…拒んだんだ……」
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