『そろそろか…』
11時―俺は仕事に区切りをつけて帰宅した。バジルはまだ帰って来ていない。
恐らくは家光さんと争奪戦が開かれるであろう並盛中学校へと行ったのだろう
その間できるだけ情報を集めてはみたが、あのチェルベッロ機関とかいう胡散臭い野郎共のことはさっぱりだ。
この争奪戦はどこか不安定で、何かが隠されているような―――。
『クソ……』
一向に落ち着けない俺は、とにかく調査が必要だと自身の部屋にあるパソコンに電源をいれた―――――
「名前さん、ただいま戻りました!」
『ん…?あ、おかえりバジル』
ぼーっと帰ってきた彼を見つめる。どうやら調べているうちに眠ってしまったらしい。と言っても深夜なのだが
「あ…すみません、寝ている所を、」
『いいって別に。どうだった?ていうか今日誰と誰だ?あ、そこらへん座って』
ふあぁと欠伸をしながら、立ち上がって彼のところへ行く。小さいなあ
「はい、勝てました!今日は笹川殿…晴れの守護者同士の対決で、明日は雷の守護者同士の対決だそうです!―わ!?名前さん…?」
『じゃあいーわ。てかさあ、この争奪戦怪しいよな』
ぎゅうっとベッドを背に座った彼に、正面から抱き着いた。このまま寝るかなーちょうどいい大きさだ
「それは…拙者も同意見ですが……9代目のもと、」
『そこから怪しいって俺は言ってんの』
「し、しかし!」
『あーごめんもう黙れ。で、明日の予定は?家光さんから聞いてねーわけ?』
彼の肩に顎を乗せて、そこから見える時計をぼんやりとみつめる
「明日は、沢田殿と第三段階の修業とのことです」
『了解。でも俺まだ調べたいことあるからバジルだけ行け』
「調べもの…ですか?わかりました。あの、この体勢は、、」
窮屈さを感じ始めたのか、もぞもぞと動き出したバジル。俺は大丈夫だけれど、彼は寝にくいようだ。
明日も修業の手伝いをするのだからそれはいけないと彼を持ち上げて、すぐそこのベッドへと下ろした
『軽いなあ…マジ。風呂明日入れ。おやすみ』
ほぼ意識が夢の世界だった俺は、またバジルを抱き寄せて、そのまま眠りについた
「はい、名前さん。おやすみなさい」
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