数十分たっただろうか。綱吉くんは掠り傷をいくつもつけ、よろめいていた。息も上がっている。
「まだまだいきますよ!」
「本気のバジルにはかなわねーな」
「次で決まるかな…?」
家光さんが言ったとおり、最後の一発をとバジルが走り出す。そして―――
『おい、モロに…』
「いや」
完全に入ったと思ったら、ガシッとバジルの腰が綱吉くんの脚でホールドされ、次の瞬間――
「うお゛お゛お゛!!」
「!!」
ゴツン!―と鈍い音が響いて、二人ともその場に倒れてしまった。
俺は慌てバジルへと駆け寄る。
『おい!!』
「…………見たか友よ…」
「ああ」
「ツナの奴、殴られた瞬間に死ぬ気をコントロールして防御力を高め、ダメージを軽減しやがった。まだそんなこと教えてねーんだろ?」
「ああ、本能的にやってのけやがったな。ま、これで第二段階は完了だぞ」
「我が子ながらやるじゃねーか」
そんな話は倒れた彼を抱え込んでいる俺にはまったく入って来ず。
『大丈夫か』
「う…はい。沢田殿はなかなかの石頭のようです」
『…大丈夫だな』
そのうちリボーンさんもこっちに来て、綱吉くんの方へ歩んだ。家光さんはもういない。
「いつつ…」
「気づいたな」
「あれ…?父さんいなかった…?」
「さーな」
「まいりました、さすが沢田殿です。すごい一撃でした」
『バジルが可哀相だから次からは頭突きすんなよ綱吉くん』
「え?オ……オレが…?」
『ちゃんと自覚しろチビ』
「いだ!!!」
「名前さん!?」
死ぬ気が解けた途端なよなよしくなった綱吉くんに蹴りをいれた。勝負を忘れるとはいい度胸だ。
「ってことでいよいよ修業第三段階にいくぞ」
「ちょっまてって!もうたくさんだよ!帰りたいよ!!」
「何甘っちょろいこと言ってんだ?そんなヒマは…」
ぐるるるる、とリボーンさんの小さなお腹に住んでいる腹の虫が鳴いた。
そういえば腹減ったかも。
「夕飯に帰るぞ」
「おまえの腹優先かよ!!」
「ちなみにバジルと名前の親方様も飯にくるからな」
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