※10年後雲雀さん
それは突然だった。
いつものように仕事の報告をと応接室を訪れたときだ。
「失礼しまーす。恭弥さん、昨日すぐそこのコンビニで───……え?」
「ワオ、幼いね」
きっちり、というよりは少し着崩れたスーツ姿の恭弥さんらしき人がいた。前髪短くないですか?身長伸びてませんか?なんでスーツなんですか?第一恭弥さん…ですか?!でもワオって言ったよな、と頑張って頭を働かせるが堂々巡りに終わった
「これからだったのにな…でも、名前は名前だから関係ないよね。ほら、脱ぎなよ」
「は?!え、ちょ、待ってくださいよ、誰ですか?!」
「僕が判らないの?咬み殺すよ」
「か、咬み殺すって…やっぱり…恭、弥さん?」
「ふうん、懐かしいね…。気が変わったよ。今から君を抱く」
「抱く?!?!」
「いつも君には苦労してるんだ。10年変わらず激しいからね」
脱げ、抱く、苦労してる、挙げ句の果てには10年変わらず激しい。つまり、10年の時を経て成長した恭弥さんなのか。俺は見てはいけない未来を見てしまったのでは…とりあえず、10年後の俺はまだ彼のものであって、彼を抱きまくってるんですか、どういうことですか
するするとネクタイを彼が緩めたとき、ぼんっと目の前が煙りに包まれた─────
「……………」
「きょ、恭弥さん!?」
そして現れたのは色々とはだけまくっているこの時代の恭弥さん。まさか10年後の俺の仕業じゃないですよね…違いますよね…そうだと言って下さい神様
「名前、」
「は、はい」
「今から君の性癖を叩きのめす」
「やっぱ俺でしたかああああ失礼しましたあああ!!」
ジャキンと制服を正しながらトンファーを構えた彼から逃げるべく、俺は応接室を飛び出した───
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10年後の名前さんは鬼畜です。
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