「うん、お疲れ様…アレン君。なまえ君、はちょっといいかな?いいよね」
司令室にて任務の報告を済ませた僕らだったけれど、戻ろうとしたところでなまえが呼び止められた。自然と踏み出した足を戻す。
「AKUMAの敵襲がノアの差し金だってところ、もう少し詳しく聞かせてもらえる?」
珈琲を一口飲みながら、一見穏やかそうな表情を見せているコムイさんだが、目は真剣そのものだ。
「えー……、、俺の推測になりますけど、いいんですか?」
「もちろん。よく当たるのは有名だしねぇ」
あまり話す気はなかったのか、あからさまに面倒だ、というため息をついて渋々口を開く。
「……ノア、もといティキ・ミックですが、、恐らくアレン目当てでちょっかいを出そうとしたところ、俺が居たせいでシラケてそうしたんじゃないですかね」
「フーン?まるでそのノアと以前に対等した経験があるように聞こえるなぁ」
「…………勘弁してください。彼とはとある事故で知り合っただけです。特にティキ・ミックについての報告はありません。あるとすれば川で鯉を貪り食ってるってことくらいですよ」
「こ、鯉……?まぁいっか。まだまだ聞きたいことは山ほどあるけど、今日はゆっくり休んで貰わないと。積もりに積もった放浪話はまた今度ゆっくり聞かせてねーん」
「……遠慮します。教団にタメになる話はありません。アレン、行こう」
「えっ、はい」
さっきとは違って今度は彼が僕の手首を掴んで早々と司令室を後にする。どうやら今まで帰ってこなかったぶんのツケ、とでも言うのか……コムイさんに目をつけられているみたいだ。
「気をつけてくださいよ。あの人手段選ばないですから」
「はは、変な特効薬には気をつけるね」
予想できないのが怖いところだ。
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